Advantages
- 高い安全性と低消費電力を兼ね備えた新しい無線通信暗号化処理技術
- 電子透かし技術に、新しい信号の隠蔽処理を施すことで、通信の保護を強化する
- 少ない計算量で通信の安全性を向上できる。低消費電力化と堅牢なセキュリティを両立
- ウェアラブルデバイスやIoTデバイスを開発している企業様との共同開発を期待
Background and Technology
IoTデバイスは生活に欠かせない技術として注目されており、近年技術開発が盛んに進められている。そうした中、大阪大学の兼本もIoTを活用した無線式脳波計デバイスの省電力化を促進する技術の開発に取り組んでいる(弊社Webサイト参照:https://seeds.tech-manage.co.jp/blogs/post/DA-03294a)。
IoTデバイスに省力化が求められる一方で、メディカルデバイスではプライバシー保護も非常に重要である。しかし、プライバシーを確保するためには信号処理が必要となり、それが消費電力の増加を招くという課題がある。この問題に対して、本研究者は、低消費電力とプライバシー性の両方を満たす技術を開発した。
本技術は電子透かしとノイズ付与を組み合わせた暗号化方式である(図参照)。まず、送信側(IoTセンサ)が信号に電子透かしをかける。次にその上から乱数で作成した「ノイズ」を付与し、送信する。受診側はノイズを除去した後に電子透かしを除去してもとのデータを復元する。本技術の鍵は、送信側と受信側と両方が、ノイズを作り出すために用いる乱数のシード値を予め共有していることだ。本技術ではこのシード値の共有について簡素ながら有効なアルゴリズムを提案する。
本技術を用いることで、第三者はシード値を容易に推定できず、無線通信を盗聴したとしても元データを復元することは非常に困難であり、受信側の誤検出も低減できる。さらに、本技術が行う処理は電子透かしの処理とノイズの処理のみであるため、送信型(IoTセンサ)の電力消費を最小に抑えられる。つまり、本技術は、プライバシー性と低消費電力を両立する新しい無線通信暗号化処理である。

Expectations
大阪大学では、本技術の技術指導・共同研究・特許ライセンスなどのご契約を通して、協業していただけるウェアラブルデバイス、IoTデバイスを開発されている企業様を探しています。本技術に関して、事業での活用を前向きにお考えの企業様におかれては、研究者との直接のご面談によるお打合せも可能です。また、技術概要の説明を弊社から差し上げることもできます。
Publications
Publications
R.Tsunaga, et al. Proc. IEEE Int. Conf. Consum. Electron. (ICCE), Jan. 2024
Patents
特許出願中(未公開)
Researchers
兼本 大輔 准教授 (大阪大学大学院 工学研究科 電気電子情報通信工学専攻)
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