超低消費電力で動く、無線式のIoTセンシングデバイス

2024/05/22 14:28 - By Tech Manage

~高圧縮、高精度かつ高速な圧縮センシング技術と高効率電源回路、さらにそれを支える実装技術~

Advantages

  • 環境発電(エネルギーハーベスティング)で駆動するバッテリーレスIoTデバイスを開発中。
  • 消費電力の極小化のために新技術を開発:①新たな圧縮センシング技術、②独自の電源回路(LDOレギュレータ)。
  • ①新たな圧縮センシング技術:生体信号や自然界の信号が持つ「スパース性」を活用し、高圧縮・高再現性を満足するセンシングシステム。
  • ②独自の電源回路:低ドロップアウト(LDO)レギュレータの新回路を開発。世界最小レベルの超低消費電力ながら、高い電源安定性能を実現。
  • 僅かな温度差をエネルギー源として動作するウェアラブル型脳波計を開発中。
  • IoTデバイスやウェアラブルデバイスのバッテリーレス化,バッテリー使用量抑制による長時間駆動やデバイスの小型化にも応用期待。
  • 開発者が動画で解説: https://youtu.be/Z7Jy3mnk_ko

Background and Technology

大阪大学工学研究科の兼本大輔准教授らは、IoT機器やウェアラブルデバイスの省電力化を促進する技術を開発しています。これは、駆動時間の長期化やバッテリーの小型化、さらにエナジーハーベスターを活用したバッテリーレス化といった技術課題の解決を目指す研究です。
このたび、研究の中で開発された省電力化技術の中から2点を紹介します。
  1. 信号の特徴に着目した独自の圧縮センシング技術。センシング対象の信号が持つ特徴を使った復元処理を行うことで、センシングシステムの高圧縮・高精度復元ならびに圧縮処理を高速化。従来利用されてきた復元技術に比べて著しく精度を高められることも実証済み。
  2. 独自開発のLDOレギュレータ。IoTやウェアラブルデバイスなどの電子回路でよく使われるLDOレギュレータの省電力並びに高い電源安定性能を両立する技術を独自開発。低消費電力のまま、所望の周波数の電源変動(PSRR:電源リップルを取り除く性能)を大きく抑えられた。詳しくは、以下の弊社Webサイトを参照ください。
    https://seeds.tech-manage.co.jp/blogs/post/DA-04138a
さらに、兼本大輔准教授らは、上記の①②の技術と関連し、圧縮センシング技術をIoT・センサデバイスへ応用することの有用性を示すため、無線式の脳波測定器(A/D変換器から無線送信機の消費電力を世界最小97μW/チャネルまで削減)のプロトタイプを開発しています。このプロトタイプは大幅に消費電力を抑えることができたため、例えば、体温と外気温差として想定した2度の温度差を活用して発電した僅かなエネルギーだけで動作することもデモンストレーションできました(詳しくは下記「論文」参照)。

図 1 開発した無線式脳波計の写真。左側の容器内に、体温と外気温の差を考慮し生成した2度の温度差を熱電変換素子に与えてエネルギーを生成している。脳波信号を信号発生器から出力し実験を行い、省電力(97μW/チャネル)だけでなく、元信号に近い復元波形が得られることも確かめられた。

図 2 開発を進めている無線脳波計の概要図

Expectations

  • IoTデバイス・ウェアラブルデバイスの無線化、小型化、低消費電力化にお困りの方。
  • エネルギーハーベスティングによるデバイス開発を期待されている方。
  • 無線通信・センシング回路システムのデータ圧縮技術にご関心をお持ちの方。

貴社の新しい事業、次世代の技術開発に、ぜひ本技術を採用ください。技術指導・共同研究・特許ライセンスなどのご契約を通して、協業体制を構築することができます。まずは先生との意見交換(オンライン打合せ)をお試しください。

Patents & Publications

【①圧縮センシング技術について】
【②LDOレギュレータについて】

Researchers

兼本 大輔(大阪大学 工学研究科 准教授)


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