深層学習を用いた圧縮センシング画像再構成技術

2025/05/28 13:24 - By Tech Manage

Summary

  • 深層学習と圧縮センシング画像再構成を組み合わせることで、高画質の画像を合成することができる技術
  • 従来の深層学習(CNN)で必要な劣化画像と正解画像のセットが不要
  • 少ないCT画像からの再構成でもノイズの少ない高画質な画像を実現
  • 本技術を貴社CT装置に組み込んでみませんか?

Background and Technology

被検体の被曝量を低減するために、CTスキャンの回数を減らすスパースビューCTや、照射するX線を減らしてスキャンする低線量CTが利用されている。一方、こうした特殊CTの再構成画像にはストリークアーチファクトというノイズが発生し、品質が低いものとされてきた。そこで、機械学習を用いた画質の改良技術が開発されている。これは、通常のCTで撮影したデータをもとにした正解画像と、特殊CTで撮影した低画質画像のペアを畳み込みニューラルネットワークに学習することで、低画質画像から正解画像へ「変換」する機械学習モデルを作るというアイディアだ。しかし、一般に、膨大な数の劣化画像と正解画像のペアを準備する必要があり、開発コストが膨大になると予想される。

そこで、筑波大学の工藤教授は、深層学習による画質変換器をより少ないコストで学習する技術を開発した。まず、本技術は、通常のCTで撮影したデータをもとに、特殊CT(スパースビューCTなど)で撮影したデータに変換するシミュレーション技術を持つ。これにより学習用の低画質画像を用意する必要がなくなる。さらに本技術は、変換して作った低画質画像のデータに対して圧縮センシングをつかった画像再構成を施した学習用データを作り出す。本技術では、その再構成画像と正解画像をペアにしたデータを使った機械学習により、画質向上効果に優れた変換モデルを作成することに成功した。これにより、階段状アーティファクトは除去され、滑らかな濃度変化は保存され、画質が非常に優れた我僧再構成が可能になる。本技術により、スパースビューCTや低線量CTにおいても非常に高画質の画像が生成でき、患者や被検体の負担の少ない高性能CT装置の開発が期待される。なお、工藤教授は圧縮センシングを用いた画像再構成のアルゴリズムを独自開発しており(※)、これは類似の従来技術と比べて高い再現性を持つことがわかっている。

より詳しい技術説明をご希望でしたら、開発者のホームページや講義動画をご覧ください。

Data

  • 上図のように、スパースビューCT(64方向投影データ)で撮影し、フィルター補正逆投影(FBP)法及び本手法(非局所トータルバリエーション(TV)+深層学習(畳み込みニューラルネットワーク:CNN))で再構成させたところ、FBP法ではMSE値とSSIM値がそれぞれ1022.02及び0.58であるのに対し、本手法は37.68及び0.90であり、画質が大きく改善したことを確認した。なお、上図の「原画像」は通常CT撮像に対しFBP法を用いて再構成した画像である。

Expectations

本技術を採用したCT装置(医療用、歯科用、工業非破壊検査用を問わず)の開発・製品化にご関心がある企業様を探しています。筑波大学が提供する技術をもとに、高画質・高速・低被曝なスパースビューCTの画像再構成を導入しませんか? 技術詳細の提供をご希望でしたら、上記の講義動画をご覧になった上で、弊社へお知らせください。開発者との直接のご面談によるお打合せの機会を提供いたします。技術導入に当たっては、参考となるプログラムの提供や開発者によるレクチャーに関する契約(有料)をご相談できます。
機械学習を使った高性能再構成の他、圧縮センシングを用いた高性能再構成や、スパースビューCT・インテリアCTなど特殊なCT向けの画像再構成技術もございます。合わせて、以下のページもご覧ください。

Patents

特許登録済み WO2021/182103

Researchers

工藤 博幸 教授 (筑波大学 システム情報系) 


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