省スキャンCTの高性能な画像再構成アルゴリズム

2025/05/28 11:48 - By Tech Manage

Advantages

  • 投影回数が少ないCT(スパースビューCT)の高品質な画像再構成技術
  • スパースビューCTで生じるノイズを抑制し、通常のCT(投影回数が多い)と遜色ない画像を提供
  • 従来の再構成技術(FISTA法)に比べて1/10~1/100の反復計算で画像再構成が可能
  • 本技術をCT装置に採用される企業様を探しています。

Background and Technology

X線の撮像回数を減らしてCT撮像を行う技術は、スパースビューCTと呼ばれる。この方法は、X線の被曝量の低減や測定時間の短縮というメリットがある。一方で、再構成画像にはストリークアーチファクトというノイズが発生し、品質が低いものとされてきた。これを解決する手法として、圧縮センシングを用いた再構成技術が近年開発されている。これはストリークアーチファクトの低減効果が高いものの、細かな濃淡が消えてしまい正確な画像が得られないという問題が指摘されている 。
筑波大学の工藤教授は長年の研究の結果、画質の劇的な改善と計算速度を削減する、新たなスパースビューCT画像再構成アルゴリズムを提案する。これは圧縮センシングを用いるものだが、次の新技術が導入されている。

正則化の改良:
従来用いられていた正則化項といえばL1ノルムやTotal Variation(TV)だった。工藤教授はこれらを組み合わせて用いるとともに、非線形平滑化フィルタ(non-local means filterなど)を適用するという新しいアルゴリズムを提案する。さらに、正則化項として画像の2次微分成分まで考慮することで、画像中の離れた位置にある画素間の差分も正則化項に加えることを可能にした。これにより、スパースビューCTにおいて、従来のTV正則化項を使う場合に生じていた細かな濃淡が消えてしまう問題が抑制される。

2.収束の高速化:
従来の画像再構成手法、特にFISTA(Fast Iterative Shrinkage-Thresholding Algorithm)法などでは、多数の反復計算が必要であり、画像を得るまでの時間と計算力のコストがかかっていた。工藤教授が提案する新アルゴリズムは、圧縮センシングの再構成において解かれている最小化問題を大胆に書き換えることで反復回数を大幅に削減した。手法は端的に言えば、反復計算なしに再構成できるFBP法を圧縮センシングに導入することと、反復処理時に投影データを一部ずつ使うことである。その結果、同等の再構成画像を得るまでの反復回数を、FISTA法の1/10~1/100まで大幅に削減した(下図)。

より詳しい技術説明をご希望でしたら、開発者のホームページや講義動画をご覧ください。
図 スパースビューCTにおける収束速度の比較(投影方向数64)

Expectations

深層学習を用いた圧縮センシング画像再構成技術
本技術を採用したCT装置(医療用、歯科用、工業非破壊検査用を問わず)の開発・製品化にご関心がある企業様を探しています。筑波大学が提供する技術をもとに、高画質・高速・低被曝なスパースビューCTの画像再構成を導入しませんか? 技術詳細の提供をご希望でしたら、上記の講義動画をご覧になった上で、弊社へお知らせください。開発者との直接のご面談によるお打合せの機会を提供いたします。技術導入に当たっては、参考となるプログラムの提供や開発者によるレクチャーに関する契約(有料)をご相談できます。

スパースビューCTの他、インテリアCTや機械学習を使った高性能再構成技術もございます。合わせて、以下のページもご覧ください。

Researchers

工藤 博幸 教授 (筑波大学 システム情報系) 


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