安静時・体動時の特有な血中酸素飽和度変化を捉え、危険な兆候を自動通知して患者の的確な受診行動を支援
Advantages
- 臨床知見に基づく高精度な異常検知:間質性肺炎の専門医の知見を反映し、安静時・体動時のSpO₂値の異常低下など、病態に特有で臨床的に意味のある変化を的確に捉える。
- 患者の判断不要で迅速な行動喚起:単に数値を表示するのではなく「異常」を明確に通知。患者や家族の判断の迷いをなくし、急性増悪の早期発見と治療介入に繋げる。
- 生活実態に即したモニタリング:利用者が「安静時」と「体動時」のモードを切り替えることで 、労作による生理的なSpO₂低下と、危険な低下とを区別し、不要なアラートを抑制。
Current Stage & Future plan
現在は、臨床的知見に基づくコンセプトを確立した段階にあります。今後は、プロトタイプの作成を進め、臨床的有効性を実証するとともに、社会実装に向けた臨床研究を計画しています。
本パルスオキシメータ搭載の機能は以下の通りです。
- 安静時/体動時モード切替
- 患者ごとの基準値(個別の安静時SpO₂平均)に応じたパーソナライズ判定
- 臨床治験に基づく異常検知アルゴリズムの搭載および通知機能(臨床経験と、間質性肺炎患者の臨床データに基づく)
- シンプルな操作で測定開始・停止可能
- 研究用データ提供のためのAPIや匿名化データ出力
Partnering Model
【共同開発のご提案】
本技術の製品化に向け、プロトタイプの開発を共同で推進いただけるパートナー企業を求めています。特に高精度SpO₂測定技術の技術を有している、パルスオキシメータの開発企業様との連携に期待しております。また、本技術開発テーマを基にした共同でのグラント申請(科研費、AMED、研究財団など)も可能です。
Technology Overview & Background
2024年の人口動態統計によれば、間質性肺疾患は日本人の死因の12位で、24,391人が死亡しており、社会的な問題となっている。その中でも最も多いのが特発性肺線維症(IPF)で、高齢者に多く、急性悪化による急変リスクがある。本発明者は、IPF患者にパルスオキシメータの自宅使用を推奨し、安静時SpO₂が基準より4%以上低下した場合に電話連絡や早期受診を促す研究を実施した。その結果、軽症段階での受診が増え、急性悪化率・死亡率ともに、過去よりも低率となった。近年、COVID-19の影響によりパルスオキシメータが普及し在宅での血中酸素飽和度(SpO₂)測定が容易になったものの、専門知識のない患者が測定値の変動から危険な兆候を判断することは困難である。特に、わずかな動作でSpO₂が低下しやすい患者にとって、その低下が病状悪化のサインか否かを見極めることは困難である。
本発明者は、この課題を解決するため、呼吸器内科専門医の臨床的知見を反映した、在宅間質性肺炎患者のモニタリングのためのパルスオキシメータを構想した。利用者が「安静時」と「体動時」のモードを切り替えることで、平常時の安静時SpO₂値を基準に、それぞれの状況下で臨床的に意味のあるSpO₂や脈拍数の変化を自動で検知する。異常を検知した際にはアラートが発動し、患者の判断を介さず、客観的な根拠に基づいた迅速な受診行動を促し、急性増悪の早期発見と早期治療介入が実現できることが期待される。アラート発動時に、患者が病院へ連絡して受診の必要性を確認できる体制も整っている。
Researchers
大久保 仁嗣 准教授 (名古屋市立大学 医学研究科 呼吸器・免疫アレルギー内科学)
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