放線菌におけるタンパク質高生産技術
Features and Vector Design
- 大腸菌でも増殖可能なシャトルベクターとして設計:大腸菌でプラスミド構築しストレプトマイセスへ移行させることが可能
- 誘導剤なしで目的遺伝子の高発現が可能:ロドコッカス属菌由来の転写調節因子NhhC、NhhDと強力なプロモーターの働きで転写が活性化される
- Tat分泌経路を最適化:S. avermitilis 由来のTatシグナルペプチドを用いることで、目的タンパク質の効率的な大量分泌を実現

Background and Technology
本発明では、この課題を解決するために ロドコッカス属菌の発現系をストレプトマイセス属で機能させることに成功した。ロドコッカス属菌の発現系は産業利用されるほど強力であり、安価なコモディティ品であるアクリルアミドの製造にも適用可能なほどの高発現能力を有している。この強力な発現系をストレプトマイセス属に応用することで、産業利用に適した安定的なタンパク質生産を実現した。
具体的には、ロドコッカス属菌のニトリルヒドラターゼ遺伝子クラスター由来の転写調節因子NhhC、NhhD および N-Hase プロモーター をストレプトマイセス属菌(S. lividans)に導入することで、ロドコッカス属の発現系がストレプトマイセス属でも機能することを確認し、高発現ベクター pHSA81 を開発した。
さらに、このベクターを基に 目的タンパク質の効率的な細胞外分泌を実現するため、S. avermitilis 由来のTat 分泌経路を組み込み、加えて大腸菌(E. coli)でも複製可能なシャトルベクターとして改良することで、ストレプトマイセス属菌で機能する発現ベクター pEHSA81k-ss1053 を構築し、分泌効率を評価した。
また、本発明では pEHSA81k-ss1053 以外にも、異なる Tat シグナルペプチドを導入した 7 種類のストレプトマイセス属菌用発現ベクターも構築した。これらにより、目的タンパク質に応じた最適な発現系を選択できる柔軟なシステムを提供することが可能である。
Data
- Pullulanase, Esterase, Chitinase, Phospholipase A2, Amylase などの発現を実証済み
- 目的タンパク質が培養上清中に含まれる分泌タンパク質の2/3以上に達するケースもあった

Expectations
本ベクターをタンパク質の発現系として導入いただける企業様を探しています。技術評価のための成果有体物移転契約(MTA)が可能です。
Patents
JPB 006906215
Researchers
小林 達彦 先生(筑波大学 生命環境系)
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