マウス骨髄細胞やヒト細胞株の課題を克服した高機能評価ツール
Advantages
- 機能的なIgE受容体を発現しアレルギー反応や脱顆粒実験が実施可能
- 細胞株の維持・培養にサイトカインが不要のため低コストで品質管理が容易
- 低・中分子化合物のライブラリースクリーニングをハイスループットに実現可能
Background and Technology
マスト細胞はアレルギー反応の主要な細胞であり、その活性評価はワクチンや医薬品の開発だけでなく、食品や化学品に対するアレルギー検査においても、マスト細胞を用いた評価系が重要である。従来のマスト細胞の評価系にはマウスの骨髄細胞から誘導した細胞が用いられることが多いが、誘導に時間がかり、増殖維持にIL-3やSCFなどのサイトカインが必要となることが課題である。また、いくつかのマスト細胞株がヒトやマウスで樹立されているが、機能的なIgE受容体が発現しておらず、アレルギー評価系としては不十分である。
千葉大学の倉島先生らは、マウスのマスト細胞と支持細胞を分離後、長期間にわたる共培養の結果、活発に増殖するマスト細胞株(cSIMVA1: Cell-line of Serosa-Infiltrated Mast cell for Versatile Analysis1)を見出した。この細胞はIL-3、ステムセルファクター(SCF)などのマスト細胞の維持に必要なサイトカイン非依存的に増殖し、体の中に存在する粘膜や表皮での機能をもつ細胞であることが確認された。また、cSIMVA1は、IgE受容体を発現しているため、アレルギー反応の研究や脱顆粒実験、さらには免疫療法の模倣実験(脱感作)にも使用可能であり、使い勝手の良いハイスループットなアレルギー反応評価系としての利用が期待される。
Data
- マウスの骨髄細胞由来マスト細胞とcSIMVA1を用いて、コントロール(None)とIL-3、SCFを添加時の細胞内のATP濃度(増殖率)を測定したところ、cSIMVA1ではすべてのグループでATP濃度が上昇し、細胞が増殖していることを確認した。(Beforeは実験前のATP濃度)

Expectations
千葉大学では、本技術にご興味のある以下のような企業様を探しています。
- アレルギー抑制薬をターゲットとしたライブラリースクリーニングをしたい企業様
- 食品やモダリティーのアレルギー、アナフィラキシー反応の評価をしたい企業様
- アレルギー・偽アレルギーに関わる新規因子の同定をしたい企業様
- アレルギー作用評価試験の受託サービスをされている企業様
cSIMVA1を用いた評価系、薬剤開発に関する共同研究や、細胞株の有償評価についてご検討いただくことが可能です。
Researchers
倉島 洋介 准教授(千葉大学 国際高等研究基幹・大学院 医学研究院 イノベーション医学)
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