振盪の力で動く電源不要ポンプがガスを自動供給し、専用プレートが揮発を抑制し理想の培養環境を構築する
Advantages
- 完全電源不要で経済的: 振盪機の揺れを動力源とするため、追加の電源や配線が一切不要。
- 専用プレートによる生産性の最大化:培地の揮発を抑制しつつ、均一なガス供給を行うことで、生産性に優れた培養条件を構築する。
Background and Technology
フラスコやマイクロプレートを用いた振盪培養では、細胞自身の呼吸により、容器内のガス環境がインキュベータの設定値から乖離してしまうという問題があった。このガス環境の意図せぬ悪化は、細胞の増殖や物質生産性を制限する要因と考えられている。従来のフィルターキャップ等によるガス交換は、受動的な拡散に依存するため非効率であり、十分な解決策とは言えなかった。
本発明者は、この問題を解決するために電源不要の換気ポンプNeBP(non-electric bellows pump)を開発した 。NeBPは、振盪機の揺れのエネルギーを利用して自動的にガスをポンピングするガス交換デバイスである。既存の三角フラスコなどに接続するだけで、容器内のガスを能動的に循環させ、培養効率を改善できることが示されている。さらに、このNeBPポンプをプレート培養に応用するためのガス制御マイクロプレートを開発した。このプレートは、NeBPから送られるガスを各ウェルに均一に分配すると同時に、内部の加湿機構で培地の揮発を劇的に抑制する。これにより、多検体スクリーニングにおいて、従来は専用の高価な装置でしか実現できなかった高精度なガス環境制御を、低コストかつ簡便に行えるようになった。

Data
- NeBPとガス制御マイクロプレートを組み合わせたシステムで酢酸菌を培養したところ、市販プレート等の対照条件に比べ、有用物質(バクテリアセルロース)の生産量が顕著に増加した。
Expectations
筑波大学では、本技術にご興味があり、本技術の製品開発にご協力いただける研究用消耗品メーカー様、培養装置メーカー様など、パートナーを広く募集しております。また、有償で「NeBPポンプ」を提供することが可能です。性能評価や、貴社製品(振盪機、フラスコ等)との組み合わせによる共同研究から始めることも可能ですのでご相談ください。また、筑波大学との秘密保持契約締結による未公開データ等の開示のほか、研究者との直接のご面談によるお打合せも可能です。
Patents
特許出願中(未公開)
Publication
Researchers
高橋 将人 助教 (筑波大学 生命環境系)
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