細胞‐微生物相互作用を評価するためのプレート培養用アタッチメント

2024/08/09 14:21 - By Tech Manage

Advantages

  • 細胞と微生物を培養するトランスウェルをそれぞれ分離することができる
  • 微生物と細胞の接触がなくなることで、微生物が細胞に与えるダメージが大幅に低減する
  • 液体パラフィンを利用して微生物培養用のトランスウェルのみを嫌気条件にできる
  • 既存のプレートやトランスウェルを使用して多検体の同時培養が可能

Background and Technology

細胞と微生物の相互作用の研究は、特に腸内環境を理解するために重要である。研究ツールとしての細胞ー微生物in vitro共培養システムは、培養条件の制御が可能で細胞の成長と代謝変化を直接測定できるなど利点が多い。いくつかのin vitro共培養システムが提案されているが、培養細胞が受ける影響の評価のみに重点が置かれているため、(1)培地のサンプリングや微生物の成長などのモニタリングが難しい(2)システムが大規模で複雑になりがちで簡便さや統一性に欠ける(3)細胞と微生物を同じウェルで培養した場合、嫌気条件での培養は難しい(4)微生物が直接作用するため細胞へのダメージが大きく細胞間接着が減弱するなど課題も多い。
発明者らは6ウェル/12ウェルプレートに細胞培養用のトランスウェルを設置し、さらに径の小さい微生物培養用のトランスウェルを重ねるためのアタッチメントを考案した(下図B)。市販のプレートとウェルを用いる、シンプルな共培養システムによって、(1) 共培養中の培地を自由にサンプリングできる(2) 微生物と培養細胞の成長を時間とともにモニタリングできる(3) 好気-嫌気共培養が可能(4)簡便な操作で複数のサンプルを同時に評価できるようになった。

Data

  • アタッチメント(―:joint plate)を用いたin vitro共培養システムにおいて、小さいトランスウェル(12 well insert)に嫌気性のビフィズス菌(B. bifidum)を培養し培養液の表面を液体パラフィンで被膜し、大きいトランスウェル(6 well insert)にはMDCK細胞を培養した(A)。(C) は実際の写真。MDCK細胞のバリア機能と生存率は、通常のMDCK培養と同等であり、密封条件下でのビフィズス菌の成長は、非密封条件下の約1.5倍に達した。

Expectations

プレート培養用アタッチメントの共同開発と製品化に取組んでいただける、培養関連製品・培養プレートの開発企業様との協業に期待しております。また、マイクロバイオームや腸内細菌を研究されている細胞‐微生物共培養システムに関心のある企業様にも、研究用のアタッチメントの評価用のサンプル提供(有償)が可能です。3Dプリントで出力可能な設計データやアタッチメント(滅菌可能)の提供が可能です。

Publications

Patents

意匠:出願済み

Researchers

梅原 嘉宏 先生、青柳 秀紀 先生 (筑波大学・生命環境系)


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