4㎎/gの収量を達成した植物体での一過的タンパク質発現のための世界最強ベクター
Advantages
- magnICONなど従来技術よりも早く目的のタンパク質を得ることが可能
- アスコルビン酸噴霧により壊死を抑制しタンパク質の発現量を増大させる改良に成功
- ナス科、キク科、ウリ科、マメ科植物へも適用できゲノム編集や有用代謝産物生産への応用も期待される
Background and Technology
植物におけるタンパク質生産はランニングコスト面での優位性が期待されているが、大腸菌などに比べて発現量が低いことが課題の一つであった。植物におけるタンパク質生産方法として、目的遺伝子を組み込んだアグロバクテリウム感染によって、一過的に目的タンパク質を発現させるアグロインフィルトレーション法が開発されている。
アグロインフィルトレーション法でのタンパク質発現量は、遺伝子を細菌から植物体に運ぶベクターによって効果が異なる。発明者らは、ベンサミアナタバコに感染させるシステムにおけるベクターを改良することで、タンパク質の大量発現に成功した。ベクターにジェミニウイルス複製システムを搭載し、二重ターミネーターを含ませることで、目的遺伝子をコードするmRNAが大量に転写され、結果として新鮮重1gあたり約4mgのタンパク質の発現量を達成した。これは大腸菌などの発現システムに匹敵する量のタンパク質発現量である。既存の植物発現システムであるmagnICONと比べても迅速な生産の観点で優位性がある。
また、ベンサミアナタバコのみならず、レタス、ナス、トマト、ダイズ、メロンなど様々な植物においてもタンパク質発現が可能となり、それぞれの植物におけるゲノム編集にも用いることができる。
Expectations
本発明である植物におけるタンパク質の高生産システムの関連特許のライセンスを受けて、植物体におけるタンパク質生産、二次代謝産物の生産、ゲノム編集作物の生成に取組んでいただける企業を探しています。研究開発用途のライセンスも可能です。評価試験のためのベクター(pBYR2HS, pTKB3)の有償MTAにも対応できます。
Publications
- 大腸菌等で発現が困難なタンパク質や複合体の発現
ヒトCullinタンパク質、抗体形成(https://doi.org/10.5511/plantbiotechnology.21.0610a) - 医薬関連タンパク質生産
アレルギー患者IgEとの結合するシラカバ花粉アレルゲンBet v 1 (https://doi.org/10.3389/fpls.2020.00344)
組換えラクトフェリンの生産(https://doi.org/10.5511/plantbiotechnology.23.0128a) - 生合成酵素発現による物質生産(二次代謝産物)
代謝酵素(D27, CCD7,CCD8, CYP711A2)大量発現による4DO(4-deoxyrobanchol)蓄積(2.1 mg/g FW)
Patents
基本特許: JP6850041B, CA3059025C (成立) US2021-0108218, EP3604546(Pending)
改良発明: CA3144718C (成立), JP2021-020421, US2022-0256847, EP4008723(Pending)
ゲノム編集への応用に関する特許: 出願中(未公開)
Researchers
三浦 謙治 先生 (筑波大学 生命環境系)
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