Advantages
- CMS遺伝子であるorf137に対する2つのRF技術を開発①稔性回復遺伝子として機能する変異遺伝子を有する新規のRF系統を作出②野生種の稔性回復遺伝子座のDNAマーカーを同定
Background and Technology
細胞質雄性不稔(CMS)遺伝子と稔性回復(RF)遺伝子を用いた育種は(1)効率的なF1種子生産とコスト削減が可能となる(2)雑種強勢の活用による品質と収量の向上につながる(3)育種の柔軟性が高まり食糧安全保障の観点でも有利であるなど利点が多い。
トマトは2020年時点で約1億8,680万トンの世界的な生産がある主要作物であり、収量の向上や病害耐性、環境適応性に関する品種改良のニーズは高い。トマトのCMS系統としてMSA1が(株)ニチレイによって樹立され、その後の研究によりミトコンドリア遺伝子であるorf137がCMS遺伝子として同定された。orf137を有するCMS系統とS. pimpinellifolium(LA1670)やS. cheesmaniae(LA166)などの野生種との交配によって得られたF1系統の稔性が回復していることから、RF遺伝子の存在が示唆されているが同定には至っていない。
筑波大学とかずさDNA研究所のグループはトマトのRF系統に関する2つの技術を開発した。
Data

- Technology1:突然変異導入によるRF系統の作出
CMS系統のトマトにEMSによる突然変異誘導処理を行い、自殖種子を形成できる系統を選抜した。得られた13系統の花粉の発芽率は最大で36%であり(右上図)ゲノム解析によって変異が入った複数の遺伝子が同定された。CMS系統における各標的遺伝子のゲノム編集によって稔性回復を再現できることを検証した。

- Technology2:野生種RF遺伝子座のDNAマーカー同定
LA1670、LA166、S. lycopericum ver. cerasiforme(LA1673)の稔性回復に関与する第1染色体のRF1遺伝子座について、それぞれ1.36Mbps、1.32Mbps、0.61Mbpsに絞り込み、DNAマーカーを同定した。さらにLA1670については第2染色体上の9Mbsの領域にRF1と異なる稔性回復遺伝子座RF2を同定した(右下図)。
Expectations
本技術を活用してトマトの育種に取り組んでいただける種苗会社、アグリテック企業とのパートナリングを希望します。ライセンス導入に向けての評価を希望される場合には、Materialに記載されているCMS系統、RF系統の種子およびDNAマーカーに関する期限付きMTA(有償)が可能です。
Patents
特許出願中(未公開)
Material
- CMS系統:MSA1 or Dwarf CMS
※協力会社である株式会社ニチレイフーズが提供元となります - RF系統:EMS#1
- 野生種RF遺伝子座に関するDNAマーカーの情報
Researchers
桑原 康介 先生(筑波大学)白澤 健太 先生(かずさDNA研究所)
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