5'UTR に 50塩基長のリピート配列を導入することで目的タンパク質の発現量が5倍以上増加
Experimental Data Summary

Advantages
- mRNAの発現に対する寄与の少ないβ‐globin由来の5’UTRの配列を人工配列に置き換えるだけで5倍以上の発現増強が期待される
- UTRのリピート配列のバリエーションを検討済みであり、GOIや対象臓器に合わせたUTRのカスタマイズも可能
- OAS3(2'-5'-Oligoadenylate Synthetase 3)阻害などmRNA の安定性向上技術と組み合わせることで、さらなる翻訳活性の増強が可能
Background and Technology
COVID-19のワクチン開発と実用化を契機に、mRNA医薬は主要な創薬モダリティの一つとして確立された。しかし、mRNA医薬の細胞内での発現効率の低さが依然として課題とされており、より効率的な翻訳技術の開発が求められている。
発明者らは、これまでのmRNA発現メカニズムの研究において、β-globin由来の5'UTRの配列がmRNAの発現効率に対して十分な効果を持たないことを発見した。そこで、β-globin由来の5'UTRの配列を特定のリピート配列に置き換えて、翻訳効率を検討した。その結果、2塩基・3塩基のリピート配列を適用することでmRNAの発現量が増加することが確認され、50塩基長のAGGリピートを5'UTRに導入したmRNAは、β-globin UTRを用いた場合と比較して、マウス肝臓において約7倍の発現向上を達成した。
Data
- 持続的な発現増強:5’UTRにAGGまたはAUCリピートを有するmRNAを導入したHeLa細胞(A)および293T細胞におけるNlucの発現は、それぞれ80時間、50時間以上持続していた。
- マウスモデルでの検証:5’UTRに50塩基のリピート配列を導入したmRNA-LNPを経静脈投与しマウス肝臓におけるLucの発現量を評価した結果、β-globin UTRを用いた場合と比較して、最大7倍の発現向上が確認された(B)。

Expectations
リピート配列を組み込んだ5’ UTRベクターを有償MTA(Material Transfer Agreement)に基づき提供し、ライセンスに向けた評価試験を実施することが可能です。
製薬企業やBiotech企業との下記の観点でのコラボレーションに期待しています。
mRNA医薬およびRNAワクチンの創薬開発:高効率な翻訳技術によるmRNA医薬やRNAワクチンの効果向上
DDSプラットフォームを有する企業:mRNAドラッグデリバリーシステムとの統合
ゲノム編集プラットフォームの開発企業:CRISPR-Cas9の発現効率を向上させ、遺伝子治療や研究用途における効率的な編集技術を確立
細胞医薬の開発企業:細胞内タンパク質の発現効率を向上させ、iPS細胞の効率的な作製
Patents
特許出願中 特願2024-194168
Researchers
星野 真一 先生 (名古屋市立大学)
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