胆管ドレナージにおいてシースを狭窄部に留置することでバルーンカテーテルを抜去した後の再狭窄を防ぎステント挿入を簡便にする
Advantages
- 手術の効率化:バルーン拡張後にシースを狭窄部に挿入することで、その後のドレナージ用ステントの挿入と留置が非常に容易になり、手術の効率が大幅に向上する
- 他の用途の適用可能性:内視鏡的胆管ドレナージ(ERBD)だけでなく、超音波内視鏡を用いた胆嚢ドレナージ(EUS-BD)にも応用可能であり、拡張後の胆汁漏出を防ぐことも期待される。
- 既存技術の組合せ:既存のバルーンカテーテル技術とシース技術を組み合わせることで、簡単に作成可能であり、開発コストの観点でも優位性がある
Background and Technology
膵癌や胆管癌が進行すると胆管が狭くなる胆管狭窄の状態になり、胆汁の流れが悪くなって黄疸や胆管炎を引き起こす。胆管狭窄に対しては内視鏡的胆管ドレナージ(ERBD)によって、内視鏡を用いて胆管にステントを留置することが行われている。ステント留置の標準的な手順は、(1)バルーンカテーテルを狭窄部まで到達させる、(2)バルーンカテーテルの先端部で狭窄部を突破しバルーンを膨らませて狭窄部を拡げる、(3)バルーンをしぼませて抜去し、ステントを挿入して狭窄部に留置する、という流れが一般的である。しかし、この手順(3)のバルーンを抜去しステントを挿入する際に、拡張した狭窄部の再狭窄が生じることが多く、ステントの突破に困難を伴うケースが多い(下図)。
そこで本研究者らは、バルーン拡張後にバルーンをしぼませると同時にシースを拡張した狭窄部に挿入することで再狭窄を防ぐ、新しい手術器具であるシース装填拡張バルーンカテーテルを考案した。ドレナージ用のステントの挿入と留置が非常に容易になるこの器具は、既存のバルーンカテーテルとシースの技術の組合せで作製することが可能である(上図)。
さらに、このシース装填拡張バルーンカテーテルは、超音波内視鏡を用いた胆嚢ドレナージにも適用可能である。バルーンカテーテルで拡張したままシースごと胆のう内へ押し進めてシースを留置することで、拡張後の胆汁漏出を防ぎ、安全性を向上させることが期待される。
Data
- シース装填拡張バルーンカテーテル
(1)バルーン拡張(2)バルーンがしぼむと同時にシースをドレナージすべき領域に挿入(3-4)シースの中にステントを通す形でスムーズに留置する
Expectations
バルーンカテーテルやシースを開発している医療器具の開発企業様との共同開発を希望しています。具体的には以下のような構造のシースとバルーンカテーテルを組み合わせた商品開発を希望しています。
- シースはねじれにくい強度と構造であること、特にメッシュ構造であると良い
- シースの内径はバルーンの装填に適した6.0ないし7.5Fr
- シースの先端部は拡張された狭窄部を通過しながら一定時間留置されるのに適した構造
臨床的な評価とサポートについて大学が実施することが可能です。本発明/プロジェクトに関し、研究者との直接のご面談によるお打合せも可能です。
Publications
Publications
Patents
特許出願済み(未公開)
Researchers
加藤 晃久 助教 (名古屋市立大学大学院 医学研究科 消化器・代謝内科学)
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