間質性肺炎における前がん状態にある上皮細胞研究と治療薬開発

2024/09/18 11:27 By Tech Manage

Advantages

  • オリジナルの特発性肺線維症(IPF)マウスモデルである、iUIPマウスモデルの解析において、異常な細気管支上皮細胞の浸潤を見出している。
  • これらの浸潤細胞はがんの合併に関与する可能性がある。
  • 本共同研究提案は、異常上皮細胞 (前がん状態) のRNAseq解析により、肺がん治療にむすびつく新たな標的探索を目指すものである。
  • また間質性肺炎そのものの治療薬となる可能性もある。

Background and Technology

  • 特発性肺線維症 (IPF) は肺がんを合併することがあり、治療が困難となる。
  • 我々は、ブレオマイシン投与後に二峰性の線維化を示し、蜂巣肺構造を伴うIPF様の症状を呈するiUIPマウスモデルを樹立し、異常な細気管支上皮細胞の浸潤を見出した。
  • これらはMMP7を発現して基底膜を破壊し、かつEMT様の表現型(移動性の獲得)も有する。そのため、前がん状態に近い状況といえる。
  • 異常な細気管支上皮細胞の浸潤の解析にあたり、iUIPモデルで使用するD1CCxD1BCトランスジェニックマウスにmCherryを導入した新たなトランスジェニックマウスを作製し、RNAseq解析データを得ることに成功している。

Data

  • 肺がん(扁平上皮癌)の前がん状態にある細胞の可視化に成功し、RNAseq解析を行った。
  • 左)コントロール、右)IPF時に観察される異常な移動性を獲得した上皮細胞、この時期気道そのものの脆弱性も観察される。時系列に沿った進行の様子をLightSheet顕微鏡で得ている。

Benefits of this joint research gain

間質性肺炎における肺がんの合併症は、特に治療薬の選択が無く、高いアンメットメディカルニーズがある。本研究では、早期肺がん阻害薬の開発を目指すが、この領域における最新の研究成果を踏まえると、肺線維症治療薬開発に繋がる側面もある。

Expectations

  • iUIPマウスモデルを用いた治療標的の絞り込みに基づく新薬開発を目指す企業との連携が希望です。
  • 研究者の金澤先生との面談を次のステップとして提案します

Researchers

名古屋市立大学・金澤 智 先生(神経発達症遺伝学)


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