溶媒希釈法の溶媒を有機溶媒Xに置き換えることで約10倍ルシフェラーゼ発現量を達成した
Advantages
- 既存の溶媒希釈法における溶媒を工夫する新しいコンセプト
- イオン化脂質の種類の影響は殆どない
Background and Technology
溶媒希釈法はmRNAワクチンなどで用いられている脂質ナノ粒子の標準的な作成方法である。具体的にはPEG脂質、SM-102などのイオン化脂質、リン脂質、コレステロールを有機溶媒に溶解した脂質溶液とmRNAを含む水溶液をボルテックス法やマイクロ流路を用いて混合し、mRNA封入脂質ナノ粒子を生成する。溶媒希釈法に用いられる有機溶媒の条件は①脂質の溶解性が高い②水と容易に混和する③常温で液体が求められており、既存の技術としてはエタノールを用いることが一般的である。
発明者らは脂質ナノ粒子の表面にタンパク質などの分子を配置する研究を行っている中で、脂質ナノ粒子作製時の溶媒の選択によって、封入するmRNAなどの発現が変化することに気が付いた。そこで、溶媒によるmRNAの発現の差異を検討したところ、溶媒として有機溶媒Xを用いた時に、mRNA封入脂質ナノ粒子の均一性が向上し、発現量が増加することを見出した。
Data
- 蛍光タンパク質(tdTomato)のmRNAを封入した脂質ナノ粒子をA549、HepG2細胞に添加後のタンパク質発現量の比較の結果、有機溶媒Xを用いることでタンパク質の発現量が向上した(A)。
- 各種イオン化脂質(SM-102, ALC-0315, Dlin-MC3-DMA)からなるmRNA封入脂質ナノ粒子を作製し、A549細胞、HepG2細胞に添加し、ルシフェラーゼ発現量を測定したところ、いずれのイオン化脂質を用いた場合でも有機溶媒Xを用いることでタンパク質の発現量が向上した。
- エタノールもしくは有機溶媒Xを用いて作製したmRNA脂質ナノ粒子を、マウスに静脈内投与または筋肉内投与し、6時間後に各臓器のルシフェラーゼ発現量を測定したところ肝臓をはじめ多くの臓器でLucの発現量が増加した(B,C)。
Expectations
本発明のライセンスを受けて有機溶媒Xを用いた溶媒希釈法の実用化に取組むmRNA医薬の開発企業、サービスプロバイダ、CRO、CDMOとの連携を希望しています。
Patents
特許出願中
Researchers
小川 昂輝 先生(名古屋市立大学 薬学研究科)
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