根圏を強化するペクチン類を誘導することで酸性土壌など、銅イオンが過剰な環境下でも生育できる
Advantages
- イネ科植物にのみ成長促進効果を持ち、双子葉植物の雑草の生育は抑制できる。
- 芝生の強化にも使える。
- 使用済み茶葉を利用するリサイクル技術であり、持続可能な農業を支える。
Background and Technology
銅は植物の正常な生育に欠かせない必須微量元素の1つであるが、酸性雨や河川の氾濫に晒された土壌中など、過剰量の銅イオンやアルミニウムイオンが溶出した環境下では、植物の生育が阻害されてしまう。
本発明者は、銅イオン過剰培地に茶カテキンに多く含まれる没食酸エピガロカテキン(ECGC)を添加することで、イネ科植物の銅イオン障害が緩和され、根の生長が促進されることを見出した。イネ科植物ではECGCによってメチル化ペクチンが誘導されることで根の伸長が促進された(下図)。総ペクチン量の増加することで、銅が過剰な条件下でも、EGCGによって誘導されたペクチンに銅イオンが結合することで、植物体内への銅イオンの吸収が抑制され、根の伸長に寄与していることが見出された。
このようなECGCの成長促進効果はイネ科植物に対してのみであり、双子葉植物ではEGCGによって逆に成長が阻害されることも明らかになっていることから、銅イオンが過剰な環境だけでなく、水田やイネ科穀類の耕作地では双子葉植物の雑草に対する抑制剤としての効果や、芝生の強化も期待できる。また、ECGCは、通常飲料用としては使えない茶葉や、茶飲料用に抽出された茶殻など廃棄物からも抽出可能である。
Data
- 水耕栽培開始後1週間のイネをEGCGを含む水耕液で生育させたところ、EGCGを含まない水耕液で生育させた対照と比較して根の脱メチル化ペクチン量が増加し、根の成長が促進された(下図)。
- 吸水3日、水耕栽培開始3日後銅及びEGCGを含む水耕液で生育させたところ、EGCGを含まない水耕液で生育させたイネと比較して根は有意に伸長し、銅に対する耐性が高かった。
Expectations
テックマネッジ株式会社では、筑波大学からの委託により、本発明のライセンス導入による下記①~③の製品化・実用化をご検討いただける企業様を探しています。
- 茶飲料に利用された茶葉を用いた原料開発(茶飲料メーカー様)
- 農薬・肥料関連に関する製品開発
- 芝や芝生の強勢をテーマにした製品の共同開発
筑波大学との秘密保持契約の締結による未公開データ等の開示の他、岩井先生との面談も可能です。
Patent
出願済み
Researcher
岩井 宏暁 先生(筑波大学 生命環境系)
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