Myl9/12を標的とした難治性の炎症性疾患の治療抗体

2024/01/11 13:26 By Tech Manage

炎症によって生じるネット用構造(Myl9-nets)を標的として、炎症組織への炎症性免疫細胞の浸潤を阻止する新しい治療コンセプト

Advantages

  • 難治性喘息、好酸球性副鼻腔炎、炎症性腸疾患(IBD)をはじめとして多くの難治性炎症性疾患に対する効果が期待できる。

Background and Technology

アレルギー疾患の発症過程においては、炎症性の免疫細胞が血管から炎症組織に浸潤する。炎症性細胞の組織へ浸潤を抑制することができれば、新しい炎症性疾患の治療薬の開発につながることが期待される。
千葉大学の研究グループは、炎症に伴って血小板から放出されるMyl9/12が血管内腔でネット構造(Myl9 nets)を作り、CD69を発現する炎症性の免疫細胞がそれを足場として血管外へと浸潤するメカニズムを解明した(CD69-Myl9システム)。実際に難治性炎症疾患である好酸球性副鼻腔炎患者の鼻ポリープ内の血管内腔においてMyl9 netsが確認された。また、CD69とMyl9/12分子の相互作用を阻害する抗体を作成し、喘息モデルマウスに投与したところ、肺への炎症性細胞浸潤が抑制された。これらの結果はCD69-Myl9システムが慢性炎症疾患の治療標的となる可能性が示唆された。
さらに千葉大学の研究グループは、Myl9/12が潰瘍性大腸炎患者の大腸組織にも高発現していることを明らかにした。大腸炎マウスモデルに、抗Myl9/12抗体を投与したところ、致死率の低下と体重減少の抑制が観察されたことから、抗Myl9/12抗体のIBDに対する治療抗体としての開発可能性も期待される。

Data

  • OVAを用いたアレルギー性気道炎モデルにおいて、抗Myl9/12抗体の投与により肺に対する免疫細胞の浸潤(H&E)や粘液の過剰産生(PAS)が減少し、BAL中の免疫細胞数が低下した(A,B)。
  • 大腸炎モデルに対して抗体Myl9/12
  • 抗体を投与した時の生存率と体重変化(C,D)。

Expectations

千葉大学で樹立したCD69-Myl9阻害抗体に基づく、自己免疫疾患治療抗体の開発を進めていただける製薬企業、バイオテック企業とのパートナリングを希望します。

Publications

Patents

基本特許:US10100107, EP3006042,他
物質特許:US10513561, EP3404040,他

Researchers

木村元子 先生、岩村千秋 先生 (千葉大学)


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