生食可能なスプラウト玄米

2022/02/25 16:18 - By Tech Manage

GABAだけでなくビタミンCやβ-カロテンも豊富な新しい機能性玄米。
芽+若い葉+玄米部分のすべてをスプラウト野菜として摂食する新しいコンセプト

Advantages

  • 玄米や胚芽米を全長25mm以上もしくは種子の5倍以上の長さまで生育させた発芽野菜
  • 第一葉が展開しており,第三葉が展開する前の状態である(伸びすぎると葉が硬くなる)
  • 根が15 mm未満もしくは種子の3倍未満である(根が長いと食感が悪い)
  • 生食、または熱水中で数分加熱してから食することが可能

Background and Technology

γ‐アミノ酪酸(GABA)を多く含む食品として知られている発芽玄米は、白米と比較して栄養価が高い玄米の加工製品であり、発芽に伴いGABAの含有量が増加することを利用して製造されている。しかし、発芽玄米は白米と同等の炊飯が必要であり、あくまで主食の位置づけである。一方、野菜の種子を発芽させたカイワレ大根やブロッコリースプラウトなども栄養価の高い食品として重宝されているが、種子部分を食べることは想定されていない。発明者らは玄米から発芽させた芽と若葉とコメの種子部分を一緒に摂取できる、新しい米の食べ方となり得るスプラウト玄米の開発に取り組んだ。この結果、GABA含有量が発芽玄米の10倍程度に増えるだけでなく、ビタミンCやβカロテンを豊富に含むスプラウト玄米の製造方法(特許出願中)を確立し、これが新しい機能性野菜となる可能性を示した。
現在、スプラウト玄米の量産化を目指し、協力会社と共同で技術開発を進めており、小ロット(玄米量:0.2Kg)の生産設備を用いて試験した結果、生育速度が1週間程度短縮され、製品の均一性も向上している。現在、商業化に向けたパートナーを探している。

Data


  • スプラウト玄米、発芽玄米、玄米のGABA量の比較(参考値)、ブロッコリースプラウト、かいわれ大根とのビタミンC、βカロテンの比較
  • スプラウト玄米を湯がいた状態。GABA量が比較的多い玄米部分は歯ごたえがあるが硬すぎることはない

Expectations

スプラウト玄米の商業的な生産やマーケティングも含めた事業化に取り組んでいただける企業を探しています。発明者・協力会社との面談や筑波大においての試験機の見学、スプラウト玄米の試食も可能です。

Publications

Food Science and Technology Research, 27 (3), 341–349, 2021

Patents

特願2021-125796

Researchers

粉川 美踏 先生(筑波大学・生命環境系)・菱熱工業株式会社

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