皮膚マスト細胞に特異的に発現する抗Clec12b抗体を用いた疾患治療

2024/12/12 17:13 - By Tech Manage

細胞特異的な認識抗体によるアレルギーや肥満細胞腫の治療コンセプト

Advantages

  • 疾患に関与するマスト細胞を直接標的とする新しい治療アプローチ
  • マスト細胞が関与していると思われる慢性蕁麻疹など発症原因が不明な皮膚疾患への適用も期待される
  • ヒトの肥満細胞症や犬や猫の皮膚がんの多くを占める肥満細胞腫への新しい抗体医薬となる可能性がある

Background and Technology

マスト細胞は皮膚、肺、腸など様々な臓器に存在し、アレルギー性疾患の発症や感染症に対する宿主防御に関与している。マスト細胞の過剰な活性化はアレルギー性疾患の原因の一つとして知られており、マスト細胞からのヒスタミンなどの炎症性分子の放出抑制剤や抗ヒスタミン薬などが抗アレルギー剤として開発されている。Siglec-8など細胞の表面マーカー分子を標的としてマスト細胞自体をターゲットとした抗体医薬も開発されているものの、マスト細胞特異性の観点では十分とは言えない。また、組織のマスト細胞に特異的に発現している分子はほとんど知られていない。
発明者らは皮膚のマスト細胞に特異的に発現している分子としてClec12bを同定した。Clec12bに特異的に結合する抗体を用いてマスト細胞を除去できる可能性(下図・左)を見出し、局所投与によりアレルギー性疾患の治療に有効であることを示した。また、イヌにおいては、肥満細胞腫が皮膚がんの中で最も発生率が高いと言われており、マスト細胞特異的なClec12b抗体医薬の適用が期待される。

Data

  • 樹立した抗マウスおよび抗ヒトClec12bモノクローナル抗体は、ADCC活性を有していた。
  • 皮膚のアレルギーモデルに抗Clec12b抗体を皮内に局所投与し、マスト細胞が減少(A)し、皮膚炎スコアが改善(B)していることを確認した。

Expectations

Clec12b抗体を用いた免疫細胞標的療法の開発企業とのパートナリングを希望しています。例えば、ADCの開発企業とのコラボレーションにおいて、筑波大学から提供した抗体をもとに企業でADCを作製いただき、その機能を大学で評価するような協業を歓迎します。また動物薬の開発企業と、イヌやネコの肥満細胞腫に対するClec12b抗体療法を共同開発することにも関心があります。

Patents

特許出願済(未公開)

Researchers

渋谷 彰 教授(筑波大学・医学医療系)


Please click here to see English summary.

以下のフォームからお問い合わせください

Tech Manage