細胞の誘導路となる自己組織化ペプチドを脳内に注入すると損傷部にニューロンが移動し神経再生が活性化する
Advantages
- 神経幹細胞の損傷部への移動とニューロンへの分化メカニズムに基づく新しい治療コンセプト
- 脳障害だけでなく脳梗塞に対する治療への展開も期待される
- 神経幹細胞を用いた再生医療において脳内の任意の部位にニューロンを分布できる可能性がある
Background and Technology
神経幹細胞は脳内の脳室下帯(V-SVZ)に多く存在し、活発にニューロンを産生している。新生ニューロンは脳内を移動し、脳の傷害後の神経再生に貢献すると考えられている。発明者らは、新生ニューロンの移動に必要な因子としてN-Cadherinを同定したことで、内在性の幹細胞を用いた脳障害や脳梗塞の治療が期待されている。しかし、N-Cadherinなどの因子を利用して、いかに損傷部位まで新生ニューロンを移動させるかが課題であった。
自己組織化ペプチドであるRADA4は、RADAが4回繰り返される16アミノ酸からなるペプチドで、患部に注入されるとファイバー上に自己組織化されることが知られている。発明者らは、物性が向上したRADA4-A16Gペプチド(mRADA)を開発し、mRADAにN-Cadherinを付加するペプチド(Ncad-mRADA)を合成し、脳内における新生ニューロンの移動を制御できるかどうかを検討した。Ncad-mRADA注入群ではV-SVZからの移動距離が優位に長く、脳障害後の運動機能障害が改善した。
Data
mRADA、Ncad-mRADA注入群ともV-SVZ由来細胞がニューロンに成熟し、Ncad-mRADA注入群ではV-SVZからの移動距離が有意に長く (A)
左後肢の運動機能障害を要因とする滑落率の上昇が有意に改善した (B)
Expectations
本発明のNcad-mRADAペプチドの技術を基にした神経再生医薬の開発を進めていただける企業を探しています。神経疾患に対する細胞医薬の技術を有している企業とのコラボレーションも歓迎します。mRADAペプチドの評価のためのMTA(有償)も可能です。
Patent
特許出願中
Researcher
澤本 和延 先生 (名古屋市立大学)
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