難溶性結晶化合物の乾式ナノ粒子化技術

2021/12/09 18:11 By Tech Manage

難溶性結晶化合物を乾式でナノ粒子化することで、溶解性を高めた錠剤を簡易かつ安価に製造する

Advantages

  • 水中で不安定な化合物にも適用可能
  • 錠剤にする際の乾燥工程が不要
  • 結晶ナノ粒子であるためアモルファスよりも安定
  • 既存の二軸extruder装置を用いて製造可能

Background and Technology

 製薬企業・食品企業・化粧品企業が開発する有効成分・化合物のうち、約 70%は難水溶性であると言われており、難水溶性化合物の水溶性や水分散性を高めるための技術開発が盛んにおこなわれている。

 水分散性を高める手法の一つとしてナノ粒子化(100nm程度)があり、既存の方法として水中でナノ粒子化する湿式粉砕法があるが、水に不安定な化合物は適さない。また、錠剤にする場合には乾燥工程が必要であることが課題である。この他に結晶薬剤とポリマーと界面活性剤を融点以上の温度で二軸extruder装置を使って混錬しアモルファス化する方法(Hot-melt extrusion法)があるものの、アモルファスは不安定で長期保存性が悪い。

 本発明者らはHot-melt extrusion法を改良し、安定性の高い結晶化合物を乾式(水を使わない)でナノ粒子化する以下の方法を開発した。
①融点が高い化合物は、二軸extruder装置を使って融点以下で結晶のまま混錬してせん断力でナノ粒子化する
②融点が低い化合物は、ポリマーの量を減らし、同装置を使ってアモルファス化した後でナノ結晶粒子化する

Data

作成したGlibenclamide(GLB:融点170℃)ナノ結晶の顕微鏡画像と溶解度。未処理のGLBに比べて約39倍のみかけ溶解度を達成した。

Expectations

<進め方例>
① 目的の難溶性結晶化合物サンプルを大学にご提供いただき、大学にて本技術を用いてナノ粒子化してお返しする(目的化合物の融点・溶解度・結晶化傾向の情報があれば条件設定可能)

② お返ししたサンプルの溶解性や活性について評価いただき、良い結果であれば本技術の導入や新たなナノ粒子製剤開発を協働して進め、新たな知的財産を創出する

Patents

特許第6867035号

Researchers

東 顕二郎 先生(千葉大学・薬学研究院・製剤工学研究室)
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