iPS細胞から誘導した血管内皮前駆細胞 (iEPCs)からのiBMELCs分化誘導の最適化により、
遺伝子発現やバリア機能がヒトのBMECsに近い細胞の誘導に成功
Advantages
- iEPCsはiPS細胞からの誘導や拡大培養、凍結保存が容易で凍結細胞を分化源とすることが可能
- ペリサイトやアストロサイトとの共培養による汎用性の高いヒトBBBモデルの開発が可能
Background and Technology
血液脳関門(BBB)の構成細胞の1つである脳毛細血管内皮細胞(BMECs)は、強力な細胞間接着と排出トランスポーターの発現を介して物質の脳実質への非特異的侵入を阻害する。創薬において、BBB透過性評価は重要で、簡易的なヒトBBBスクリーニングモデルが望まれている。現在、薬物のBBB透過性を予測するために、げっ歯類のin vivoモデルや不死化ヒトBMECsが存在するが、バリア機能不足や遺伝子発現パターンが異なることなど十分ではない。
発明者らはBMECが発生学的に血管内皮前駆細胞(EPC)に由来することに着目し、iPS細胞由来血管内皮前駆細胞 (iEPCs)からのiBMELCsへの分化誘導方法について、分化誘導の最適化を行った。iPS細胞からの誘導したiEPCsに対してB27 supplementとTGFβ阻害剤(A83-01)、Laminin511断片を添加することでバリア機能が亢進したiBMELCsを誘導することに成功した。
Data
本法で誘導したiEPC、iBMELCsの各マーカーの発現。iBMELCsのPECAM1、CDH5の発現量は既存の方法で誘導したiBMELCsやBBB評価用の細胞株hCMEC/D3に比べて高く、hBMECsに近い値を示した。
Expectations
BBBモデルなどの創薬支援ツール、細胞製品、細胞医薬のマスターセルの開発に関心のある企業への血管内皮前駆細胞 (iEPCs)や脳毛細血管内皮様細胞(iBMELCs)の誘導化技術の技術導出先を探しています。特に、ペリサイトやアストロサイトとの共培養によるヒトBBB in vitroモデルを構築しており、本技術を用いた脳毛細血管内皮様細胞(iBMELCs)の供給をいただける細胞製品開発企業様とのコラボレーションに期待しています。
Patents
JPB6856240、PCT/JP2020/ 5255、PCT/JP2022/20827
Researchers
坡下 真大 先生、松永 民秀 先生(名古屋市立大学・薬学研究科)
Please click here to see English summary.
以下のフォームからお問い合わせください