異種プライム・ブーストで強力な免疫反応を誘導する2つの異なるウイルスベクターの組み合わせ
Advantages
- マラリアワクチンとしてコンセプトを実証:サルモデルにおいて、安全性、免疫原性、ならびにワクチン効果を検証済であり、全頭で副反応が見られず、血清中には非常に強い抗マラリア中和抗体が誘導され、伝播抑制活性も確認された。臨床応用に向けてSCARDAの支援を頂いている。
- がんやHIVにも展開可能な汎用性:ベクターに搭載する抗原遺伝子の入れ替えだけでワクチン作製が可能な、汎用性の高いワクチンプラットフォーム。

Background and Technology
ウイルスベクターは標的細胞に抗原遺伝子を効率よく送達や強い免疫誘導、アジュバント不要、持続的な免疫応答などの観点が期待され、がんワクチンや様々な感染症に対するワクチンモダリティとして研究開発が進められている。
従来のマラリアワクチンRTS, Sは組換えタンパク質ベースのワクチンで感染防御を目的としているが、アフリカでの第III相試験では30%の有効率であり、7年後には効果が消失すること、ヒトから蚊へのマラリア感染を防ぐ伝搬阻止効果を有さないこと、冷凍保存が必要であるなどの問題があり、新しい戦略・コンセプトのワクチン開発が求められている。
本技術は高い安全性と免疫原性が実証されている2種類のウイルスベクター(ワクシニアウイルス株(LC16m8∆)およびアデノ随伴ウイルス1型(AAV1))を組み合わせた異種プライム・ブースト戦略により、これまでにない感染防御と長期免疫維持を実現する。
特に、1回目(プライミング)にLC16m8∆は強力な免疫応答を誘導し、2回目(ブースター)のAAV1は長期間にわたる抗原発現を担うことで、抗ベクター中和抗体の影響を回避しつつ、免疫の質と持続性を両立させる。マラリアを含む感染症・がん領域におけるワクチン開発の新たなモダリティとなる可能性を有している。また、マラリアワクチンとしては、RTS,Sでは成し得なかった感染防御・伝播阻止の両立を達成し、COVID-19、ジカ熱、サル痘においても予防効果が示されており、今後のパンデミック対策ワクチン開発にも資する技術として期待される。
Data
- LC16m8∆/AAV1ベクターには、感染防御抗原PfCSPと伝播阻止抗原Pfs25を融合したpfs25-pfcsp遺伝子を搭載し、マウスモデルでRTS,S(3回投与)と同等の100%感染防御効果を2回投与で達成(左図)。
- マウスから蚊への伝播阻止活性(TBA)と伝播減少活性(TRA)を評価した結果、LC16m8∆/AAV1は両効果を発揮した一方、RTS,Sは寄生虫伝播を阻止できなかった(右図)。
- サルモデルにおいて、安全性、免疫原性、ならびにワクチン効果を検証済

Expectations
本研究プロジェクトは、AMED SCARDA日本医療研究開発機構 先進的研究開発戦略センター「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業」に採択され、マラリアワクチンの実用化に向けた研究開発を進行中。本事業の参画にご興味お持ちいただける企業を探索しております。
マラリアワクチンに限らず、本ワクチンプラットフォームを活用したワクチン開発にご興味をお持ちいただける企業、スタートアップ設立のご提案も歓迎いたします。
本技術に関する詳細な情報提供やご質問などございましたらお気軽にお問合せください。
また、ご興味ございましたら、まずは研究者とのweb面談の設定より進めさせていただきます。
Patents
特許7649504号
Researchers
吉田 栄人 教授 (金沢大学 医薬保健研究域 薬学系)
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