独自に開発したコア-シェル型アルギン酸ハイドロゲル構造体(ファイバあるいはシート)の大量生産可能な技術により、
抗体製造や再生医療のための動物細胞培養を効率化し、製造コストの削減が期待される。
Advantages
- 抗体産生量を向上
- 高効率な細胞製造プロセス
- スケールアップが容易な細胞封入ハイドロゲル構造体の製造技術
Background and Technology
抗体医薬品市場の拡大に伴い、安定かつ低コストでの生産システムの開発が求められている。抗体産生細胞の高密度連続培養システムは従来よりある生産方式の一つであるが、大規模な培養タンクの必要性や、攪拌による細胞へのダメージ、細胞同士の凝集による凝集体内部の細胞壊死、過剰増殖による抗体産生能の低下などの課題があった。
一方で、コア-シェル型アルギン酸ゲル構造ファイバのコア層に細胞を封入した培養方法は、細胞への物理的なストレスの低減、中心壊死の予防、内部の細胞への酸素と栄養の供給、代謝産物と老廃物の放出、細胞増殖を一定程度に制限できる、などの利点を有し、小規模な生産設備でも高効率な抗体産生が可能な基材として期待され、研究開発が進められている。しかしながら、既報の細胞を封入したコア-シェル型アルギン酸ゲルファイバの製造は、マイクロ流路を用いて行われているため、単位時間あたりに製造できるハイドロゲルの量に限界があるため、大量培養基材としては不向きであった。
今回、本研究者らは、芯材のまわりに強度の異なるハイドロゲル層を階層的に形成し、コア層に細胞を封入したコア-シェル型アルギン酸ハイドロゲル構造体(ファイバあるいはシート)の作製方法を見出すに至った。本手法は、芯材を対象溶液に複数回浸漬することで作製可能な手法であり、芯材を複数用意し、一斉に溶液に浸漬することで大量生産も可能な方式である。
Data
- 細胞培養を開始して、14日後に、抗体産生細胞の培養に本発明のアルギン酸ゲルファイバを使用した場合、懸濁培養と比較して約2倍以上細胞あたりの抗体産生量が増加する
Expectations
千葉大学では、本技術を活用した抗体製造にご興味のある製薬企業や抗体の受託製造企業等を探索しております。また、本研究開発プロジェクトをさらに加速させられるような共同研究も歓迎いたします。
ご興味ございましたら、研究者とのお打合せ等の設定から始めさせていただきたいと思いますが、進め方についてはご希望もお伺いいたしますので、お気軽にお問合せください。
Patents
特許出願中(未公開)
Researchers
山田 真澄 教授 (千葉大学 大学院工学研究院)
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