D35LNPはTLR9を刺激し、プラズマサイトイド樹状細胞からのIFN-αの放出を強く誘導し、全身性免疫を強力に促進する
Advantages
- 免疫チェックポイント阻害剤抵抗性のがんに対しても治療効果が期待される。
- 腫瘍内投与だけでなく静脈内投与でも効果を発揮できる。
- 抗がん治療だけでなく、プラズマサイトイド樹状細胞の活性化やインターフェロンα誘導が有効なアレルギー疾患や感染症の治療、ワクチンアジュバンドとしての活用も期待できる。
Background and Technology
CpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpGオリゴ)は、Toll様受容体(TLR)9アゴニストであり、インターフェロンや炎症性サイトカイン分泌などの自然免疫応答を誘導することから、免疫調整薬や免疫賦活薬、ワクチンアジュバントなどの応用が期待され、研究開発が行われてきた。CpGオリゴにはその化学構造などからいくつかのタイプに分類されている。AタイプCpGオリゴはほとんどが天然のホスホジエステル骨格からなり、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)からのインターフェロン(IFN)-α産生を強力に誘導する。
近年、抗PD-1抗体などの免疫チェックポイント阻害剤によるがん免疫治療が注目されているが、その有効率は約20%にとどまり、その恩恵を受けられる患者層が限られている現状がある。一方で、AタイプCpGオリゴはIFN-α産生を強力に誘導し、抗腫瘍T細胞を誘導、誘因することで、抗PD-1抗体治療に対する抵抗性がある腫瘍に対しても効果を示すことが期待されている。VidutolimodはAタイプCpGオリゴ含有ウイルス様粒子であり、先行して臨床開発が進められており、抗PD-1抗体治療に対する抵抗性の克服も期待されているものの、腫瘍内投与が必須であるという問題があった。
本発明者は、AタイプCpGオリゴであるD35をDOTAPによりナノ粒子(Lipid Nano Particle)化し、AタイプCpGオリゴの効果を安定に発揮できるD35LNPを開発した。
Data
- マウス腫瘍モデルにおいて、D35LNPと抗PD-1抗体、D35LNPと放射線をそれぞれ併用することで、マウスの腫瘍が治癒した。
- D35LNPにより、免疫療法に耐性を示す腫瘍を反応応答性に転換することに成功した。
- D35LNPは循環腫瘍細胞や遺伝性がんの発生を抑制する効果を示した
- D35LNP は、Th1 CD4T 細胞、CD8T 細胞、NK 細胞を効果的に活性化した。
Expectations
本薬剤を用いたがんの治療薬開発にご興味のある企業を探索しています。また、企業にて研究開発中のLNPを活用したコラボレーションも歓迎いたします。また、がん以外に、アレルギー疾患や感染症、ワクチンアジュバントに関する治療薬開発や研究開発のコラボレーション等にご興味のある企業も探索しております。
本発明に関し、大阪大学との秘密保持契約締結による未公開データ等の開示のほか、研究者とのお打合せも可能です。
Publications
Munakata L, and Aoshi T et. al., (2019) J Control Release. 313:106-119.
Patents
特許第 7520321号など(米欧中では審査中) 出願人:大阪大学
Researchers
青枝 大貴 教授 (長崎大学 医歯薬学総合研究科)
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