プランクトンの増殖促進技術

2025/09/01 14:14 - By Tech Manage

カイアシ類などの飼料生物や微細藻類の培養効率を飛躍的に高めることを可能にする、細菌由来の増殖促進手法。低コストかつ安定供給を可能とする次世代の水産養殖資材としての活用も期待される。

Advantages

  • 動物プランクトン・植物プランクトンの双方に有効
  • 天然海水から分離した有用細菌:実海域に存在する微生物の中から特定した、再現性・安定性に優れた有用株を活用。

Background and Technology

水産養殖において、稚魚や仔魚の健全な成長には、カイアシ類、ワムシ類などの栄養価値の高い餌料生物の給餌が重要である。一方で、カイアシ類やワムシ類の大量培養には、植物プランクトンである微細藻類を給餌するものの、微細藻類は単価が高く、培養の手間やコンタミネーションリスクなども課題となっている。
本研究では、養鶏副産物であるフェザーミールを活用し、低コストでカイアシ類(シオダマリミジンコ)を大量培養することを目的に検討を進める中で、同種の増殖を顕著に促進する共生細菌群集を発見。その培養液を利用することで、動物プランクトンだけでなく植物プランクトンの増殖促進効果も得られることが判明した。
本技術は、特定細菌を含む培養液を用いることで、プランクトンの高密度培養を実現。これにより、従来技術では困難であった効率的かつ持続可能な餌料供給体制を構築できると考えられる。

Data

  • 本細菌とフェザーミールを含む培養液をカイアシ類(シオダマリミジンコ)に給餌する実験を行ったところ、微細藻類 Nannochloropsis oculataを単独で給餌した場合に比べ、個体群密度が約1.5倍に向上した。また、併せて培養液の水質浄化も確認された。
  • 微細藻類 Nannochloropsis oculataに対し、フェザーミールを含まない本細菌の培養液を投与したところ、顕著な細胞増殖促進効果を確認した(図)。

Expectations

長崎大学では、本技術の実用化に向け、以下のようなご連携先を積極的に募集しています:

  • 微細藻類の培養事業や水産養殖事業に取り組む企業様
  • 餌料生物の効率的な増殖やコストダウンを目指す研究開発部門
  • 微生物資材の探索・応用に関心のあるバイオ関連企業様
共同研究の実施、あるいは本技術の評価用サンプル提供(MTA契約・優先交渉権の設定含む)も柔軟に対応可能です。ご関心をお持ちいただけましたら、研究者との意見交換の場を設定いたします。

Patents

特許出願中(未公開)

Researchers

金 禧珍 准教授 (長崎大学 水産・環境科学総合研究科)  

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