電解コンデンサが不要なフルコンバータ

2025/01/29 15:32 - By Tech Manage

本研究者らが独自開発したZソースフルコンバータは、
次世代の電力変換器として風力発電システムやフライホイール蓄電システムでの利用が期待される。

Advantages

  • 超長寿命・高信頼性:システムの信頼性を損なうことなく、耐久性の高い部品の採用により長寿命を実現。
  • 大幅なコスト削減:頻繁な部品交換が不要となり、メンテナンスコストを大幅に低減。

Background and Technology

フルコンバータは電力変換装置の一つであり、交流電力を直流電力に変換し、再び交流電力に変換する装置である。風力発電においては風速が常に変化するため、フルコンバータが変動する発電機の出力電力を一定の電圧・周波数に変換することで、電力の送配電網への安定的な電力供給を可能とする重要な役割を担っている。
近年、再生可能エネルギーの導入が急速に進む中で、風力発電システムの運用コストが課題となっている。特に、フルコンバータに使用される電解コンデンサは、電力変換器における故障原因の 30%を占めるとの報告もある。
研究者らは高効率・メンテナンスフリーな風力発電システムの研究開発を進めており、今回、電解コンデンサに代わり、長寿命のフィルムコンデンサを採用したZソースフルコンバータ(右図)を新たに開発した。フィルムコンデンサは電解コンデンサに比べてエネルギー密度が低いため、単に取り替えただけでは直流リンク部分の平滑能力が著しく劣化する問題があるが、SiC-MOSFETを用いてインバータを高速スイッチングさせることで解決した。さらにMOSFETを用いることで誤ターンオンによるインバータの上下短絡事故が懸念されるが、これに対してはインバータの入力部にインピーダンス回路を設けることで解決した。

Expectations

  • 試作機による動作検証が完了。
  • Zソースフルコンバータは、発電機およびコンバータの損失を低減し、低風速時におけるエネルギー効率の改善をシミュレーションにより確認。

本技術を基にした製品開発・試験検証・利用等にご興味のある企業を探索しております。ご興味ございましたら、追加情報の提供や次のステップとして本件研究者との面談をご提案いたします。

Patents

  • 出願中(未公開)

Researchers

小岩 健太 准教授 (千葉大学大学院工学研究院) 

以下のフォームからお問い合わせください

Tech Manage