生体コラーゲン線維の高感度リアルタイム蛍光標識法

2024/09/10 16:40 - By Tech Manage

蛍光プローブ(DAF-FM、DAR-4M)を用い、生体組織内のコラーゲン線維の動態を長期間にわたり追跡・観察も可能な新しい手法。

Advantages

  • 本蛍光プローブはコラーゲン線維を簡単かつ高感度に蛍光標識できる。
  • 本蛍光プローブは長期間蛍光が退色せず、細胞毒性も極めて低い。
  • 2種のプローブを使用し、組織の成長過程における異なるタイミングでのコラーゲン線維の成長をそれぞれ標識し追跡するパルスチェイス観察も可能。

Background and Technology

生体内のコラーゲンを観察する手法はシリウス染色や免疫染色、電子顕微鏡観察、第二次高調波(SHG)を利用した方法などが知られている。しかしながら、従来の手法は、ライブイメージングができないことや解像度が十分でないなどの問題があった。
本発明者は、一酸化窒素プローブとして知られているDAF-FMやDAR-4Mがコラーゲン線維を高感度に蛍光標識可能なことを新たに見出した。なお、DAF-FMやDAR-4Mによるコラーゲン線維の発光過程では一酸化窒素が無関係であった。本手法は、DAF-FMやDAR-4Mを含む溶液に試料を浸漬するだけで簡便にコラーゲン線維の蛍光標識が可能であり、蛍光顕微鏡や共焦点顕微鏡を使用してコラーゲン線維を鮮明に観察できる。また、生きたまま蛍光標識できることに加え、標識されたコラーゲン線維の蛍光がほとんど退色しないため、組織におけるコラーゲン線維の成長過程やそのプロセスを長期間追跡することも可能である。本手法は従来方法に比べ、簡易かつ高解像度でコラーゲン線維の立体構造を観察することが可能となり、医学分野だけでなく、創薬、美容、バイオマテリアル分野などでの活用が期待される。

Data

  • 本手法を用い、線維芽細胞を対象に、培養期間中に成長するコラーゲン線維のパルスチェイス観察を実証(図1)。
  • ゼブラフィッシュを対象に、組織内のコラーゲン線維を個体が生きたまま蛍光観察した(図2)。
  • ゼブラフィッシュ以外にも両生類の生体組織におけるコラーゲン線維の蛍光観察も実証。

Expectations

本技術は、ライブイメージングでのコラーゲン線維の追跡が容易になるため、研究開発加速への貢献が期待されます。例えば、以下のような分野で、本技術の活用や本研究者との協業にご興味のある企業様を探しております。
  • 線維症治療薬の研究開発
  • 老化研究や美容分野での研究開発
  • バイオマテリアルの製品開発
本発明/プロジェクトに関し、大阪大学との秘密保持契約締結による未公開データ等の開示のほか、研究者との直接のご面談も可能ですので、ご希望がございましたら何なりとご相談ください。

Publications

Kuroda et al., PNAS Nexus Volume 3, Issue 7, 266p, 2024 ( DOI:10.1093/pnasnexus/pgae266) 

Patents

特許出願済み(未公開)

Researchers

黒田 純平 助教 (大阪大学大学院 生命機能研究科) 

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