Nd:YAGより安価な紫外線レーザー

2024/05/22 09:37 By Tech Manage

Tb添加フッ化物単結晶をレーザー媒質とし、Qスイッチ動作と2次高調波変換により波長272 nmの光を出力する。

Advantages

  • シンプルな装置構成(右図)で安価、Nd:YAGの半額程度で作製できる可能性がある。
  • 全ての要素が固体材料であり、安定性が高い。また、エネルギー変換効率が高く、低消費エネルギーであるため、ランニングコストの低減も期待される。
  • ピークパワーは、約500 W。

Background and Technology

紫外線レーザーは、微細加工、医療、分光分析、殺菌、レーザー冷却、核融合プラズマ診断など多岐に渡る分野で有用性を示している。
紫外線レーザーとして、KrFエキシマレーザーやNd:YAGレーザーが知られているが、いずれも構造が複雑で、装置も大型となり、高価であった。
本研究者らは、可視域で動作するパルスレーザー材料としてTb 添加材料に着目し、研究に取り組んだ結果、過飽和吸収体と非線形光学素子を用いることにより紫外光の出力を安価な装置構成で実現した。Tb は、レーザー活性イオンとすると長いレーザー上準位寿命、高い量子効率、大きなエネルギー蓄積能力を持つことから、本レーザーはエネルギー変換効率が高く、低消費エネルギーとなる。

Data

  • Tb:LiYF4をレーザー媒質とし、過飽和吸収体として、Co添加スピネル結晶、非線形光学素子としてBaB2O4非線形結晶を用い、488 nmのレーザー光を照射する励起光源を用いて実証を行った。
  • 272 nmでの平均出力は277 mWであり、変換効率は19%であった。また、7.6 μJの最大パルスエネルギーと6.1 Wのピークパワーが得られた。
  • 3kHz 時の最大平均出力時の典型的なハルス時間波形とパルストレインにより、パルス幅は190ns でこの時のパルスエネルギーは 148μJとなり、ピークパワーは 580W となったことを確認した。

Expectations

本技術を活用したレーザー開発にご興味のある企業を探索しております。
ご興味ございましたら、追加情報の提供や次のステップとして本件研究者との面談をご提案いたします。

Patents

Researchers

安原 亮 教授 (核融合科学研究所) 

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