核酸医薬の脾臓での遺伝子発現抑制効率を向上させる低分子リガンド
Advantages
- 脾臓でのノックダウン効率を2倍以上向上させる。
- リガンド効果が配列やリンカーに依存しない。
Background and Technology
核酸医薬は、治療困難な疾患に対する新しい創薬モダリティとして大いに注目を集めている。しかしながら、全身投与された核酸医薬は肝臓に集積しやすい性質を持つために、肝臓以外の臓器・組織を狙うことは非常に困難であり、核酸医薬の治療標的を拡大するための薬物送達システム(DDS)の開発が急務とされている。DDSの一つとして、薬物送達能を有するリガンドと核酸医薬のコンジュゲートにより、標的組織選択的な核酸医薬の送達を実現する技術がある。
今回、発明者らは100種類以上の低分子リガンドをコンジュゲートしたアンチセンス核酸(ASO)を合成し、in vitroスクリーニング、in vivo活性評価により、肝臓以外で有効性を示すリガンドを探索した。その結果、脾臓で活性を向上させるリガンド分子を見出した。脾臓は体内で最大のリンパ器官であり、また赤血球の破壊・造血を担う重要な臓器であるが、今まで脾臓をターゲットにした核酸医薬のリガンドは知られていなかった。今回、見出された低分子リガンドはin vivo試験でノックダウン効率が向上することを確認し、この効果がASO配列やリンカーの構造に依存しないことも確認されている。本発明により、従来は核酸医薬の標的とできなかった脾臓の疾患に対するASO治療の応用につながることが期待される。
Development Stage & Future Research Plans
- マウスMALAT1(長鎖ノンコーディングRNAの一種)に対するASOと低分子リガンドをコンジュゲートし、マウス尾静脈へ投与したところ、ASO単独の場合と比較して、脾臓において約2倍ノックダウン活性が向上することを確認した。また、用量依存的に活性が向上することも確認された。
- 上記とは異なる配列のASOを作成し、同様の実験を行ったが、脾臓でのノックダウン活性は同様であり、低分子リガンドコンジュゲートによる効果は配列に依存しないことを確認した。またASOと低分子リガンドのリンカー部分の構造も改変し、同様の実験を行ったが、効果はリンカー構造に依存しない可能性があることを確認した。
- 脾臓特異的に発現が減少するメカニズムやノックダウン効率のさらなる向上を目指して解明を進める予定。
Expectations
テックマネッジ株式会社では、大阪大学からの委託により、本発明のライセンス導入による製品化・実用化をご検討いただける、核酸医薬や脾臓特異的DDSにご興味のある製薬企業様を探しています。本発明/プロジェクトに関し、研究者との直接のご面談によるお打合せも可能ですので、ご希望がございましたら何なりとご相談ください。
また、大阪大学との秘密保持契約締結による未公開データ等の開示のほか、本テーマに関する共同研究や、技術および発明の一定期間における有償評価(MTA契約/優先交渉権等のオプション設定)についてご検討いただくことも可能ですので、お気軽にお尋ねください。
Patents
特許出願中(未公開)
Researchers
大澤昂志 助教 (大阪大学大学院 薬学研究科) ほか
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