パターン認識受容体であるRIG-Iに対するリガンドを有効成分とする、様々な線維化疾患に対する治療薬候補。
Advantages
- Retinoic acid-inducible gene-I(RIG-I)は線維症に対する新たな治療標的
Background and Technology
コラーゲンなどの細胞外マトリックスが過剰蓄積し組織の機能不全に至る線維症は、多くの患者が存在するにも関わらず、効果的な治療薬がほとんどないことから、革新的治療薬の開発が求められている。一方で、線維症は様々な細胞内シグナルが関与するため、効果的な治療標的の同定が難しいと考えられている。
本研究者らは、以前抗がん剤として開発されているレオウイルスが、顕著な線維化抑制効果を示すことを見出した。https://bionauts.jp/?p=658。また、肝線維症では、レオウイルスが肝星細胞に取り込まれ、脱線維化効果を示すことを見出し、この際に肝星細胞の機能に回復傾向(遊走能の正常化、静止期マーカーの発現上昇、脂肪的貯蔵能の回復)が見られることを確認している。
一方で、レオウイルスの受容体として知られているRIG-Iは、細胞質に存在する自然免疫系に関与するパターン認識受容体である。細胞内に侵入したウイルス由来の二本鎖RNA(dsRNA)を認識し、I型インターフェロンなどの抗ウイルス作用を有する分子の産生をもたらす。RIG-Iを標的とした創薬開発は、がんや感染症に対して行われており、化学合成されたdsRNAや低分子などがリガンドとして知られている。
今回、研究者らは、RIG-I のリガンドであるdsRNAが線維化抑制効果を示すことを新たに見出した。
Data
- RIG-Iのリガンドとして、インフルエンザA型由来の配列を持つdsRNAである 3p-hairpin RNA(3p-hpRNA)を用いて実証を行った。
- 3p-hpRNAは、TGF-βにて活性化させたヒト肝星細胞(LX-2)、ヒト肺線維芽細胞(NHLF、MRC-5)、ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)において、それぞれCOL1A1、ACTA2などの線維化マーカーの遺伝子発現を大きく減少させた。
- in vivoでの実証については計画中。
Expectations
本研究成果を基にした薬剤開発にご興味があるパートナー企業様を探しています。詳細をご希望の際には、本発明者とのご面談も可能です。
また、企業にて開発中のdsRNAやRIG-Iリガンド、デリバリー技術を活用したコラボレーションも歓迎します。
Patents
出願中(未公開)
Researchers
櫻井 文教 先生 (近畿大学薬学部医療薬学科 教授)
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