微粒子をサイズごとに連続分離するマイクロ流体デバイス

2023/05/09 11:28 By Tech Manage

血液成分(赤血球、白血球、エクソソーム等)、細胞、微生物、各種合成微粒子、リポソームなどの微粒子を
高精度かつ簡便に効率よく分離し、分離した微粒子をサイズごとに回収するデバイス

Advantages

  • 処理量と精度のトレードオフの解決を目指した新しいマイクロ流路のデザイン
  • 流路設計により分離の閾値設定が可能であり、サブミクロンレベルの微粒子分離も可能
  • 連続処理が可能であり、目詰まりの影響をうけにくい簡便な構造のため、自動化も容易

Background and Technology

診断医療、生化学研究、精密機械産業及び食品・化粧品製造等の様々な分野において、粒子をサイズによって分離する技術は必須とされている。遠心分離、沈降分離やマイクロ流体デバイスによる分離手法など様々な手法が提案されている。遠心分離や沈降分離は、簡便な手法によって、比較的大量の粒子分離が可能であることから汎用的に利用されているものの、高精度な分離を行うためには、長時間かつ多段階の分離操作を必要とし、分離の精度が操作者の技術に依存するという課題もある。マイクロ流体デバイスを用いた手法の内、流路内層流を利用する手法は、粒子の懸濁液を導入することにより粒子がサイズに基づき分離されることから、有用であると期待されている。また、外部からの電場・磁場・遠心場などの操作を全く必要としない粒子の連続的な分離手法は、処理量を増やす場合や自動化においても有利な点として挙げられる。一方で、マイクロ流体デバイスを用いた手法は一般に「目詰まりしやすい」という問題がある。また、高精度な処理を実現するには複雑な流路構造を用いる必要があり、処理量が低くなるトレードオフの関係も問題であった。
本研究者のグループでは、様々なマイクロ流体デバイスの構造を提案しており、様々な微粒子の分離実績も有している。今回、簡便な操作により、サブマイクロメートル程度の微小な対象にも適用可能であり、十分な処理量で高精度分離を達成可能なデバイスとして2タイプの構造をデザインした。

Expectations

  • 試作デバイスを作製し、血液サンプルより赤血球(6~8 μm)と白血球(8~20 μm)の分離を実証した。
  • 現在、エクソソームを分離するため、デバイスの改良を試行中。
  • 多孔性基材は研究室にて自作しているため、企業との協業による基材の開発・最適化を希望している。

本技術を基にしたマイクロ流体デバイス製品の開発・販売にご関心をお持ちの企業や本デバイスを利用した微粒子分離にご関心をお持ちの企業、多孔性基材製品の開発・販売するパートナー企業等を探索しております。

Publications

Patents

Researcher

山田 真澄 准教授 (千葉大学 大学院工学研究院)

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