植物を利用した組換えタンパク質の分泌生産を向上させる新規シグナルペプチド

2023/12/11 19:08 - By Tech Manage

植物由来の新規シグナルペプチドが植物で生産された組換えタンパク質の細胞外への分泌を促進する

Advantages

  • 本シグナルペプチド(SP)は、植物由来の分泌促進SPとして汎用されるExtensinよりも高い分泌能を付与する。
  • 本SPは、目的タンパク質の生産性を向上させる。

Background and Technology

近年、組換えタンパク質の宿主の一つとして植物が注目されており、医薬品や化粧品原料、産業用酵素などの有用タンパク質の安価な生産に繋がることが期待され、様々な技術が開発されている。アグロバクテリウムを利用する一過性発現法は、遺伝子発現量が高く、大量のタンパク質を短時間で生産するために広く利用されている。また、タバコ近縁種のNicotiana benthamianaは、他の植物と比較してバイオマス生産量が高く、様々な植物病原菌への感受性も高く、外来遺伝子の導入に有利であることから組換えタンパク質生産に広く利用されている。
一方で、生産上の課題の一つとして、生産されたタンパク質の分離・精製工程が生産コストの約80%を占める点が挙げられる。この工程を省コスト化する技術として、生産されたタンパク質を細胞内よりアポプラストなど細胞外へ分泌させることにより生成を簡便化させる方法がある。この分泌生産方法には分泌を促進するSPが必須であり、様々な植物由来のSPが開発されてきた。中でもN. benthamiana Extensinタンパク質由来のSPは、アポプラストへの分泌を大きく促進するSPとして知られている。
今回、N. benthamiana由来の分泌促進SPとしてExtensinよりも効果の高いSPを同定した。本SPは植物を利用した組換えタンパク質の効率的な分泌生産につながると期待される。

Expectations

  • アグロバクテリウムによりN. benthamianaを形質転換し、GFPやグルコセレブロシダーゼの分泌生産を行った。本SPにより組み換えタンパク質のアポプラストへの分泌が促進されることを確認した。Extensinと比較して、本SPが高い分泌量を示すことも確認した。
  • N. benthamiana形質転換体から樹立された培養細胞においても、本SPにより組み換えタンパク質の分泌促進を確認した。

本シグナルペプチドの利用にご興味のある企業を探索しております。ご興味がございましたら、先ずは、研究者との面談をご提案いたしますので、技術の詳細説明とディスカッションから、スタートさせていただければ幸いです。

Patent

  • 出願済み(未公開)

Researcher

藤山 和仁 教授 (大阪大学 工学研究科) 


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