IgG型二重特異性抗体

2022/09/27 12:27 By Tech Manage

IgG型二重特異性抗体の新規フォーマットであり、製造における課題を解決する

Advantages

  • 副産物を理論上生じない構造。
  • 副産物に基づく副作用リスクの回避と製造における分離精製工程の簡便化を可能とする。
  • IgG型抗体と同等の特性・安定性。

Background and Technology

二重特異性抗体は2つの異なる抗原、あるいは同じ抗原の2つの異なるエピトープを同時に結合する抗体分子であり、2つのモノクローナル抗体が相乗的に作用することにより優れた効果が期待されており、がん免疫療法や自己免疫疾患治療など様々な研究開発が盛んに行われている。その中でも、 IgG 型二重特異性抗体は、物性や活性などが優れていることから、注力して開発が行われている。
IgG 型二重特異性抗体は基本的に 2 種類の重鎖と 2 種類の軽鎖の計 4 種類のポリペプチド鎖から構成され、各鎖の組み合わせが異なる副産物の生成が不可避的に生じる。副産物が生じることにより、収率が低減し、精製が複雑化し、製造コスト上昇につながる。これまでポリペプチド鎖のヘテロ会合を促進させる技術により生産性向上の取り組みがなされてきたものの、副産物は生じてしまう。一方で、製造工程で生じる副産物は、免疫細胞の予期せぬ活性化を引き起こし、副作用のリスクとなる。
研究者らはTribsMab CLC(Trimeric bispecific Monoclonal antibody Common Light Chain)と名付けた新たな二重特異性抗体のフォーマットを開発した。TribsMab CLCは、下図のように2種類、3本のポリペプチド鎖から構成される二重特異性抗体であり、1種類のポリペプチド鎖は、定常領域を含む2種類の重鎖可変領域がペプチドリンカーで連結されている。また、軽鎖可変領域を共通化している。本構造とすることで、Fc領域のヘテロ会合は必要とならず、理論上副産物は生成しない。

Expectations

  • HER2/HER3, CD20/CD3, BCMA/CD3のTribsMab CLCを作製。vitroにて結合性や障害活性を研究室レベルで確認済。
  • In vivoでの検証については未実証のため、今後試験を行うことが必要。
  • 希望する標的に対するTribsMab CLCの評価にご興味ございましたら、ご相談ください。

本技術の導入に関心のある企業や上記のような研究開発に興味を持つパートナー企業を募集しております。
追加情報の提供等も可能です。

Patents

PCT/JP2021/012911

Researchers

中西 猛 准教授 (大阪公立大学 大学院工学研究科 物質化学生命系専攻)


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