アポリポタンパク質を有効成分とした、全身性抗腫瘍免疫の新しい治療アプローチ
Advantages
- 薬剤の投与部位だけでなく、遠隔の非投与部位においても抗腫瘍効果を示すことを実証。
- ネオアンチゲンの情報やアジュバント、T細胞修飾を必要とせず全身性の抗腫瘍免疫を活性化するため、症例を選ばず適応できる可能性がある。
Background and Technology
現在、腫瘍に対する免疫療法は数多く研究開発されており、その基本的なコンセプトは腫瘍の細胞を攻撃するT細胞の活性を維持し、その数を確保するものである。しかし、非応答症例が多いことや、症例に合わせて適用する必要があり、抗腫瘍免疫を積極的に誘導するような効果的な治療法はほとんど知られていない。
本発明者らは、抗がん剤に関する研究を進める中で、抗腫瘍免疫においてアポリポタンパク質(ApoD等)がユニークな効果を持つことを発見した。更に、抗OX40アゴニスト抗体等のT細胞活性化剤と併用することで腫瘍特異的T細胞を劇的に増幅・活性化し、さらに、この腫瘍特異的T細胞が移動することで遠隔のがんに対しても抗腫瘍効果を持つことが明らかになった。遠隔の腫瘍にも効果を持つことから、転移がんに対しても効果的な治療となることが期待される。また、アポリポタンパク質による抗腫瘍免疫の活性化は、予想されるメカニズムなどから、多くの症例で普遍的に効果を示すことが示唆される。そのため、腫瘍を選ばず転移がんにも効果を持つ新しい治療アプローチにつながることが期待される。
Data
Expectations
- 担癌マウスモデルに対し、Apodタンパク質を投与し、抗腫瘍効果を確認した。
- 担癌マウスモデルApodタンパク質とOX40アゴニスト抗体を腫瘍内投与したところ、投与部位の腫瘍だけではなく、遠隔の非投与部位の腫瘍においても強力に腫瘍増殖を抑制した(図)。また、投与部位と非投与部位においてT細胞数が大きく増加していることを確認した。
- アポリポタンパク質による全身性抗腫瘍メカニズムを明らかにした。
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Patents
PCT/JP2021/033925 (移行国:日本、米国、欧州)
Researchers
二村 圭祐 先生 (群馬大学 未来先端研究機構 教授)
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