Advantages
- 新規光応答性オーキシンアナログによるAIDキット
- バッファー液の繰返し洗浄なしで、時系列で照射時のみのタンパク質分解が観察可能
- 光照射位置選択的なタンパク質分解作用が可能
- ヒト細胞株での標的タンパク質の分解と蓄積を実証済み
Background and Technology
AID(オーキシンデグロンシステム)は、タンパク質の分解制御技術であり、植物ホルモンオーキシンによって導⼊される植物特異的なタンパク質分解系を、⾮植物由来の真核細胞に応⽤したシステムで、更に改良型オーキシンデグロン法・AID2の開発も進められ、より低濃度の誘導剤で精密な標的分解を誘導できるようになり、特定の細胞や組織でのみタンパク質を分解することが可能となりつつある。一方でこのAID2においても、下記の課題が残されている。
- 多細胞が存在する中で特定の位置にある細胞中の標的タンパク質のみ特異的に分解することが困難
- 多細胞の存在中で、標的タンパク質の時系列の観察のため、細胞をバッファー液で洗い流す必要があるが、その⽅法では、細胞の状態を連続して観察できず、不連続な観察になってしまう
本発明は、光により立体構造が変化する新たなオーキシンアナログの発明であり、部位特異的に時間特異的にタンパク分解を制御可能な新たなAIDである。

Data
- 光応答性オーキシンによるタンパク質分解実証A)OsTIR1(オーキシン受容体)およびmAID-EGFP-NLS(タンパク質標識分解タグ) を共発現させたHAP1細胞の蛍光顕微鏡観察において、DMSO(対照)および10nMで5−フェニルアゾインドール−3−酢酸(本化合物1)を4時間処理の前後の、暗所および照明条件下でのタンパク質分解結果。この結果から、(1)を添加したとき、365nm光依存的に細胞内のGFPを分解できることが示された。B)左は(1)を150nM添加し、部分的に520nm光を背景光として全体に弱い365nm光を照射した細胞群のGFP蛍光の様⼦を蛍光顕微鏡によって観察したもの。520nm光を照射した位置選択的に、GFPが分解されていることが示された。右は同じ細胞群を明視野で観察したもので、細胞が全体にほぼ均⼀に存在していることがわかる。

Expectations
現段階:光応答性AIDのヒト細胞における応答性や作動性の実証が完了。
次段階:① 使用目的に合わせた適用細胞、汎用性の実証
② 実用化プロセス、キット化等のサービス・製品開発
③本技術の展開アイディアによる共同研究
技術導入、または上記の実用化/開発コラボレーションに関心のあるパートナー企業を募集しています。先ずは、技術の詳細説明とディスカッションから、スタートさせていただければ幸いです。
Publication
Patents
・特許出願済み
Researchers
国立大学法人北海道大学 電子化学研究所 教授 玉置 信之
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