ウイルス研究推進研究室とのコラボレーション機会のご案内とそのリソースのご紹介

2024/09/25 11:38 - By Tech Manage

Background and Technology

熊本大学・ヒトレトロウイルス学共同研究センターは、HIV-1を始めとしたレトロウイルスやDNAウイルス、RNAウイルスの抑制機構としてのAPOBEC3ファミリータンパク質の機能解明や新型コロナウイルス研究を推進しております。貴社がフォーカスされる「HIV根治法」や「感染症による宿主応答」などのテーマと深く関連する研究であり、下記のようなリソースを保有しています。

 

  • 脱アミノ化酵素(APOBEC3ファミリー)の6遺伝子(APOBEC3AからAPOBEC3G遺伝子)欠損細胞THP-1細胞株
  • APOBEC3-Vifタンパク質インタラクション阻害剤評価系
  • 患者由来HIVの配列から予想される抗ウイルス薬に対する耐性変異のin vitro評価
  • 培養細胞を用いたSARS-CoV-2に対する感染防御・阻害評価系
  • 幅広いウイルス株の樹立や評価が可能な人材、P3レベルの実験施設

 

HIV-1は、Vifを保持していなければCD4陽性T細胞やマクロファージなどの免疫細胞で増殖することができない。したがって、HIV-1が標的とする免疫細胞においてHIV-1感染に必要なVifの役割を完全に明らかにすることは、HIV-1の性状を解明する上で非常に重要である。本研究室では、CRISPR-Cas9によってAPOBEC3AからAPOBEC3G遺伝子までを欠損させる方法を世界で初めて確立し、少なくともTHP-1ではHIV-1感染に必須なVifの標的はAPOBEC3ファミリータンパク質タンパク質のみであることを明らかにした (Ikeda et al., mBio, 2023)。この結果は、HIV-1感染に必須なVifの機能を阻害する薬剤は、HIV-1感染症に対する新たな治療薬の開発に繋がることを意味している。本研究室で対象にしているA3ファミリータンパク質は、レトロウイルスやDNAウイルス、RNAウイルスなどに変異を誘導し、ウイルス複製に影響する。一方で、A3ファミリータンパク質の制御機構の崩壊は、ウイルスの進化、つまり薬剤耐性変異や免疫逃避変異などを獲得したウイルスの出現に寄与する。さらに、A3ファミリータンパク質の制御機構の崩壊は、がん細胞の進化、つまり薬剤耐性変異や免疫逃避変異などを獲得したがん細胞の出現とも関係している。当研究室で確立したAPOBEC3AからAPOBEC3G遺伝子までを欠損させる方法や作製した細胞株は、本研究者が独自に開発し樹立したものである。したがって、これらの方法や細胞を使うことにより、ウイルス研究やがん研究に対して、他の研究室では得られない独自の発展が見込める (例:新型コロナウイルス感染におけるA3ファミリータンパク質の役割の解明、Begum et al., Viruses, 2024)

Expectations

ご関心をお持ちいただけましたら、研究室の成果のご紹介や上記リソースを活かしたコラボレーションの可能性について、一度研究統括者の池田先生とディスカッションの機会をご提供できればと思います。ご関心のある企業様は、お気軽にお知らせください。

Publications

Researchers

池田 輝政 先生

熊本大学ヒトレトロウイルス学共同研究センター 准教授

以下のフォームからお問い合わせください

Tech Manage