新たな重水素化医薬品フロー合成装置による医薬品開発コラボのご提案

2025/01/21 14:17 - By Tech Manage

Advantages

  • 高圧不必要、室温レベル(25℃)の低温反応、原料に重水素ガス不使用の環境負荷の低い反応
  • 高い反応成績(導入率80ー99%、収率80ー98%)
  • イブプロフェンで実証済みの他、幅広い化合物の重水素化、後合成・オンデマンド合成にも活用可
  • 原料の重水(D2O)はリユース可能、触媒からの分離精製が容易

Background and Technology

医薬品は、重水素化することによって薬剤安定性が向上することや、薬物動態の改善、毒性の低減につながる効果が期待されることから、そのメリットを活用し、重水素化医薬品を戦略的に開発する動きがある。その一方で、従来の重水素化プロセスは、いずれも有機合成プロセスを用いたバッチ式の重水素化法であり、処理方法・工程の煩雑さ・コストが課題であった。
本研究室では、有機合成法によらないプロセスで、多量の廃棄物を排出することなく、常圧・室温で処理可能な、重水素医薬品、重水素標識化合物フロー合成装置を開発した。
具体的には、プロトン導電膜に電極を取り付けた新たな膜型反応器によって、プロトン導電膜のアノード側に重水(D2O)及びプロトン供給源を供給し、プロトン導電膜のカソード側に重水素化する化合物を供給するというコンセプトの装置である。プロトン電動膜としては、現時点でナフィオン膜や酸化グラフェン膜を用いている。プロトン導電膜に通電することにより、アノード側においてプロトン供給源と重水を電気化学的に酸化してH+/D+としてプロトン導電膜を経由し、カソード側に通過するD+/D2と重水素化する化合物とを反応させることによって、重水素標識化合物を電気化学的に合成する方法が提供される仕組みである。
本装置によって、幅広い医薬品の研究開発段階/製造段階に貢献でき、高性能な医薬品が検討可能となる。

Expectations

現段階:プロトタイプ装置による重水素化コンセプトを実証。実施例やメカニズム検証継続中。
次段階:① 重水素化医薬品の汎用性評価、医薬品開発評価。
    ②更なる反応効率化のための触媒開発、最適化・応用開発。
    ③量産装置の開発による本装置の産業化。
いずれも研究室との共同研究/共同開発が可能です。本技術・プロセスを用いたサンプル医薬品の評価、共同研究・開発コラボレーション、技術指導に関心のあるパートナー企業を募集しています。先ずは、技術の詳細説明とディスカッションから、スタートさせていただければ幸いです。

Publications

Patents

・出願済(国際段階・未公開)

Researchers

国立大学法人熊本大学 大学院先端科学研究部 教授 木田 徹也


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