溶存イオン除去・精製デバイス付き 迅速、高精度なSP-ICP-MS 装置

2024/07/31 16:31 By Tech Manage

Advantages

  • 溶存イオンを選択的に除去率99%で取り除く前処理デバイス付き
  • 測定時間は通常装置と変わらず60s
  • イオン除去前後での粒径分布は変化なし
  • 溶存イオンが共存する試料においてSP-ICP-MSにおける粒子の検出粒径下限値が大幅に改善

Background and Technology

ナノ粒子の測定法として、動的光散乱法や走査型電子顕微鏡法(SEM)や透過電子顕微鏡法(TEM)などの方法が用いられてきたが、昨今、特定の金属粒子を選択的に検出可能なICP-MS による方法が注目されている。溶液中に導入されたナノ粒子(SP)がプラズマでイオン化され、時間分析(TRA)モードにより検出される(SP-ICP-MS)。TRA データをもとに、最終的にParticle size(粒子径)と Normalized Frequency(正規化した頻度)のデータに変換され、粒子濃度、粒子サイズ、粒子分布が求められる。
一方、試料液中に分析対象である金属粒子と共に、同じ金属が溶存イオンとして存在する場合、バックグランドが大きくなり,粒子シグナルの測定精度が低下する課題がある。このような課題を改善する手段として、測定データを統計処理し、粒子信号をイオン信号から分離する方法も報告されているが、改善策として限界があった。
本発明は、こういった課題を解決する、粒子と溶存イオンを含有する試料溶液から溶存イオンを抽出除去し、精製された粒子を対象試料として分析する「粒子精製デバイス付きSP-ICP-MS装置」である。具体的には、イオンの拡散・泳動と膜透過によって、試料溶液から選択的にイオンを除去する、溶存イオン抽出デバイス(ITD)を前処理デバイスとして搭載した装置である。

Data

溶存イオン抽出デバイスによりAlイオンをインラインで除去して粒子(Al2O3)をICP-MSへと直接導入
粒子分散液中からAlイオンを定量的に除去することにより、検出粒径下限値が改善し、より小さな粒子の高精度検出が実現

Expectations

現段階:プロトタイプ装置による溶存イオンの抽出効率および粒子の残存率の実証を完了。
次段階:①製品化実現に向けたICP-MSメーカーとの再現性評価・性能最適化。
    ②量産技術の開発による本製品の産業化。
いずれも研究室との共同研究/共同開発が可能です。②はパートナー企業様主体での検討を希望しております。
本技術・プロセスを用いたサンプルの評価、共同研究・開発コラボレーション、技術指導に関心のあるパートナー企業を募集しています。先ずは、技術の詳細説明とディスカッションから、スタートさせていただければ幸いです。

Publications

  • 第72回日本分析化学会年会

Patents

  • 出願済(未公開)

Researchers

国立大学法人熊本大学 大学院先端科学研究部基礎科学部門化学分野 教授 大平 慎一


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