D‐アミノ酸によるNAFLD治療薬開発

2023/10/17 10:52 By Tech Manage

~経口投与剤D-Cysteineで肝臓障害の抑制効果を示す~

Advantages

  • 世界の有病率25%で、特異的な治療薬の無い領域へのソリューション
  • 量産技術が確立され、溶解性の高いアミノ酸・D-Cysteineによるアプローチ
  • 500mg/kg濃度で2週目以降抑制効果を示すことを確認

Background and Technology

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、アルコールの消費量に関わらず、肝臓に脂質が蓄積する肝疾患で、成人において約25%の高い罹患率と推定される疾患である。また、NAFLD患者の10~20%は、肝硬変・肝癌のリスクが高い非アルコール性肝炎に移行するため治療が必要であるが、現在根治的な治療は確立していない。
近年、体内で微量に産生される硫化水素が、NAFLDに対して保護的な作用を持つことが示された。硫化水素はD体アミノ酸の一種であるD-Cycteineが生体内においてD-amino acid oxidase(DAO)という酵素で代謝され、産生されることが知られている。
発明者らは、肝臓においてD-システインがDAOの代謝を受け硫化水素を産生することにより、NAFLDに対する治療ないし予防効果を発揮するのではないかと考え、D-システインがin vitroにおいてDAOによる代謝を受け、硫化水素を生合成することで脂肪由来の活性酸素種を抑制すること、ならびにin vivoにおいて肝臓障害を抑制することを実証した。

Data

肝臓DAO発現NAFLDモデルマウスにおけるD-Cysteineの効果を検討した。
ヒトでは肝臓にDAOが発現しているが、マウスにおいては(腎臓・小脳以外に)発現していないため、ヒトと同一条件とするため、肝臓選択的にDAOを発現させるAAVベクターを対象マウスに尾静脈投与した。4週間後、コントロールマウスの肝臓ではDAOが発現しておらず、DAO発現AAVベクターを投与したマウスの肝臓でDAOが発現することを確認した。その後、通常食または高脂肪食を摂取させ、同時に4週間D-Cysteieneまたはsalineを連日経口投与した。この期間中、毎週採血を行い、AST,ALTの値を測定した。
  • D-Cysteineの慢性投与は高脂肪食(HFLMCD)群におけるAST, ALTの上昇を抑制した。
  • D-cysteineの投与によりASTについては2週目以降、ALTについては3週目以降から有意な抑制効果がみられた。

Expectations

現段階: D-CysteineによるNAFLD抑制効果のコンセプトの実証が完了。
次段階:①詳細メカニズム研究、製剤最適化開発
            ②臨床開発
上記の開発を進めていただける、開発パートナー企業を募集しています。
先ずは、技術の詳細説明とディスカッションから、スタートさせていただければ幸いです

Patent

出願済(未公開)

Applicant

国立大学法人 熊本大学

Researcher

姫路独協大学 薬学部 薬理学教室 教授 関 貴弘


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