Advantages
- 海藻Padina抽出物由来の物質2-ヒドロキシペンタン酸
- ニーズの高まる副作用の無い避妊薬に向けた新たな医薬品
- 魚類における実証完了、マウスにおける実証も進行中で公開間近
Background and Technology

従来の避妊薬はプロゲステロン類似化合物であり、ステロイド骨格をもつ物質群であるため、ステロイド性化合物の副作用を逃れず、一般的には、悪心や嘔吐、めまい、疲労感、頭痛、乳房の圧痛、下腹部痛などの症状が引き起こされるが、これを回避する薬剤はもたらされていない。
ステロイドホルモンの作用として、ゆっくりと細胞に作用するゲノミック作用と、迅速に細胞に作用するノンゲノミック作用が知られるが、本発明者はこのノンゲノミック作用を細胞に伝達する、細胞膜プロゲステロン受容体(mPR)に焦点を当てた研究を推進し、mPRタンパク質の人工合成に成功し、これによってmPR受容体に作用する物質をスクリーニング可能となった。また一方で、本発明者は、うみうちわ(海藻Padina)が生息する海域の環境ホルモンの調目的で、同海域で採取した海水から精製した抽出物の研究を推進し、海藻Pandiaからの抽出物の精製に努めてきた。これら研究テーマの連動によって、海藻Pandiaから精製した化合物が、mPR受容体へのアンタゴニストとして作用することが明らかにされた。この抽出物を核磁気共鳴分析(NMR)し、2-ヒドロキシペンタン酸(2-HPA)であること、またこれによる卵成熟・排卵抑制効果が実証された。
本化合物は経口投与剤を想定しているが、実行濃度の低用量化試験や最適剤型の開発を必要としている。
Data
2-HPA及びその類縁化合物による卵母細胞の成熟及び排卵の阻害試験
2-HPAとの比較で、2-ヒドロキシ酪酸(2-Hydroxybutyric acid)、吉草酸(valeric acid)、2-ヒドロキシヘキサン酸(2-Hydroxyhexanoic acid)、1,2-ペンタンジオール(1,2-Pentanediol)及び3-ヒドロキシ酪酸(3-Hydroxyvaleric acid) といった類縁化合物を用いて、試験を行った結果、 2-HPAのみが、動物個体において卵母細胞の成熟及び排卵を阻害できることが示された。

Expectations
現段階:2-HPAによる排卵・卵成熟抑制効果のコンセプト実証が完了(年度内にマウス実証も完了・公開予定)。
次段階:②-1 製剤開発(低用量化、最適製剤化)
②-2 詳細メカニズム研究、安全性試験
③臨床開発
2-HPAの製剤開発に関心をお持ちいただけるパートナー企業を募集しています。先ずは、技術の詳細説明とディスカッションから、スタートさせていただければ幸いです。
Patents
出願済 特開2024-163501
Publication
[1] Tokumoto T,et al.,Research Square https://doi.org/10.21203/rs.3.rs-3360164/v1
[2] Tokumoto T,et al.,Biochemical and Biophysical Research Communications 592 (2022)1-6
Researchers
静岡大学 創造科学技術大学院 バイオサイエンス専攻 教授 徳元俊伸
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