医療トレーニング/研究/薬剤評価用 心筋症モデル由来摘出灌流心ex vivoモデル

2024/05/14 11:30 - By Tech Manage

オリジナルに家系を固定し、保有される心筋症ブタ由来のモデル

Advantages

  • 生体外で拍動を維持するブタ心臓モデル
  • 麻酔薬を灌流し、致死的頻脈性不整脈(心室頻拍、細動)の発生が実験的に再現可能
  • 心電図や高速度カメラ等の計測系と連動し、疾病・治療アプローチに関する定量データが収集可能

Background and Technology

心筋症の治療ニーズは年々大きくなる環境にありながら、心筋症発症のメカニズムは未だ解明しきれておらず、その研究開発のための心臓モデルとして、iPS細胞由来などin vitro、オルガノイド、in vivo、3Dプリンティングによる人工モデル、シミュレーションソフトなど様々なモデルが開発・提供されている。また、治療薬・医療機器開発に留まらず、循環器系医療従事者のトレーニング需要についても、樹脂などを用いたモデルや拍動も備えた既存モデルがあるが、ヒトの治療場面に近い生体としてのモデルのニーズは高い。
麻布大学にてベッカー型筋ジストロフィー(BMD)の表現型・心筋症を示す変異を持つ保因家系ブタが発見され、この家系を固定し維持している。本技術は、このBMD心筋症ブタモデルから摘出した心臓組織標本を心停止後灌流し、再拍動させた後、拍動を維持する方法を確立し、ex vivoモデル心臓として再現された。この灌流心は、揮発性麻酔薬(例えば、イソフルラン)とカテコールアミン(例えば、アドレナリン)を、この順序で灌流することで不整脈が誘発される。
この潅流心モデルは、リアルな治療処置のトレーニング用途、また疾患メカニズム研究用途、治療薬評価用途への応用が想定され、アブレーションなどの手術手技のトレーニング、光学マッピングを適用することで、不整脈の原因となる心臓興奮伝播やカルシウムイオン動態の異常を可視化することが可能となる。

Data

BMD心筋症モデルブタからの摘出心を氷冷し、心停止液に漬け、ヘパリン3mL(1000U/mL)摘出心に注入した。大動脈からカニューレを挿入し、灌流装置に摘出心を装着し、灌流を開始した。心臓の色が変化した後、除細動器による電気ショックで摘出心を再拍動させた。その後、電極を心尖部および心底に装着し、心電図記録を開始した。
摘出心に試験薬(イソフルラン含有)を5分間灌流、アドレナリン(0.5mg/10ml)を30秒で注入したところ、非保因雄4頭では頻脈は起きたが心室細動には至らなかった(A)一方、保因雄の灌流心に対しては、多形性心室頻拍を示し、心室細動に至った(B)

Expectations

現段階:モデル作製、心筋症発症プロトコルの確立、薬剤評価の実証が完了。
次段階:①モデル作製の再現性検証(進行中)
            ②使用目的・ケース(薬剤評価、疾患メカニズム研究、医療トレーニング)に合わせた最適プロトコルの確立
            ③データ蓄積、量産化
技術導入、または本モデルの活用、実用化/開発コラボレーションに関心のあるパートナー企業・機関を募集しています。先ずは、技術の詳細説明とディスカッションから、スタートさせていただければ幸いです。

Patents

出願済み

Researchers

麻布大学 獣医学部 獣医学科 講師 相原 尚之、 助教 志賀 崇徳

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