ゲルの柔軟性・強靭性とゲル/ハイドロキシアパタイト融合層の安定性
ゲルの柔軟性・強靭性とゲル/ハイドロキシアパタイト融合層の安定性
Advantages
- 本研究室で開発された高強度ダブルネットワークゲル(DNゲル)による材料
- ウサギ大腿骨顆部の骨欠損部への埋植実証済み
- サンプル提供、製造・成形技術の提供・アドバイスが可能
Background and Technology
損傷および摩耗を受けた軟骨やその関節痛は、生体内では自然治癒せず治療が必要となる。人工関節材料としては、超高密度ポリエチレン・セラミックなどの固体材料が用いられており、生体軟骨との含水率の違いから、生体関節よりも数十倍もの摩擦となることが課題であった。更に、変形性や衝撃吸収性が低く、潤滑剤を保持することもしにくかった。これらを解決するため、研究室では、オリジナルの“高強度ハイドロゲル”(DNゲル)を開発し、生体軟骨と同レベルの強靭性、含水性で、表面は生体軟骨並の滑り摩擦抵抗性が低い人工関節として用いることを提案し、実証研究が進められてきた。
一方で、臨床応用を想定し、本高強度ハイドロゲルを軟骨欠損部に移植した場合、ゲルが母床としての骨組織に固定される必要があるが、ゲルにはそのような骨組織との接着能が認められず、骨組織との接着が課題となっていた。
この課題に対し、研究室は、ハイドロゲルの半透過性、ハイドロキシアパタイト(HAp)の高い骨伝導性、骨組織の動的な性質を利用すべく、DNゲルの表層にHApナノ結晶をハイブリダイズさせる方法を見出し、生体内のゲル-骨界面に、ゲルと骨のハイブリッド層を自発的に形成させることで、、強靭なハイドロゲルを骨に結合させる方法の確立に成功した。
Data
A: ウサギ大腿骨に移植されたHAp/DNゲルプラグの模式図。
B: i,ii) DNゲル移植後4週間のマイクロCT画像。iii,iv) HAp/DNゲルの移植後4週間のマイクロCT画像。
C : HApをコーティングしたDNゲル(上図右)と、そのインプラント材料見本(下図、HApは未コート)。
Expectations
現段階: HApコーティングしたDNゲルのin vivoインプラント実証が完了した段階。
次段階:
①サンプル提供による、機械強度などの味見評価
②DNゲルの製造装置、金型などの提供による、製造技術の確立
③臨床開発(長期動物試験による効果・安全性の評価、治験による有効性評価、術式/デバイス開発など)
上記①②③の開発コラボレーションに関心のある協働パートナーを募集しています。先ずは、技術の詳細説明とディスカッションから、スタートさせていただければ幸いです。
Patents
・特許第5166282号 軟骨組織再生治療用骨充填剤
・特開2019-189718 ハイドロゲル及びハイドロゲルの製造方法
・特願2022- 94413 人工軟骨インプラントおよびその製造方法
Researchers
国立大学法人北海道大学 先端生命科学研究院
グン 剣萍、黒川 孝幸、野々山 貴行
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