皮膚老化状態の評価抗体取得の共同研究提案

2022/05/16 10:46 By Tech Manage

皮膚表皮中のケラチン10の特定修飾構造を検出することにより皮膚老化状態を評価する

Advantages

  • 表皮のAGEs(Advanced glycation end-products)の標的タンパク質“ケラチン10”の修飾構造(284CEL、285CML)検出による、高感度な皮膚老化状態の評価
  • 抗体取得により、迅速な皮膚老化状態の評価、皮膚老化抑制物質のスクリーニングが可能
  • 抗体成分による皮膚治療効果も期待

Background and Technology

メイラード反応は、ブドウ糖などの還元糖によるタンパク質の非酵素的糖化反応であり、近年、生体内におけるメイラード反応が種々の疾患の発症要因の1つであることが明らかにされている。AGEsはメイラード反応後期に生成される物質のことで、AGEsが生成されるタンパク質としてヘモグロビン、アルブミン、皮膚や血管壁等の結合組織のコラーゲンやエラスチン、神経ミエリン、眼球クリスタリンなどがある。これらのタンパク質がメイラード反応を受けることによって、タンパク質の変性、機能低下および異常をもたらし、血管系の障害、腎症、神経障害、網膜症および白内障などの糖尿病性合併症や老化に伴う疾患を引き起こすと考えられている。

<本研究グループでの研究経過>
AGEsの一種である抗N-カルボキシメチルリジン(以下CMLと記載)の抗体(6D12)を開発し、抗原抗体反応によるCMLの検出を行い、CMLが加齢や糖尿病合併症の指標となる事を明らかにした。しかし、6D12 抗体は、多種類のタンパク質に形成されるCMLに反応するため、どの組織/細胞のどのタンパク質に発現するかを詳細に調べることが困難だった。

<本技術>
本研究室は、ターンオーバーの短い表皮にもCMLが存在することを発見し、ケラチン10が表皮でCML化されるタンパク質であることを見出し、高感度プロテオーム解析によってCML化位置を特定するとともに、CML化に加えN-カルボキシエチルリジン(CEL)化が生じていることを発見した。その結果、ケラチン10における特定修飾構造(=284番目CELおよび/または285番目CML)と存在量を指標として、高感度な“皮膚状態の評価方法”を確立した。
 これらのケラチン10特定修飾構造に対する特異的抗体が取得できれば、より迅速・簡便に、皮膚老化の研究、皮膚老化改善・化粧品材料・皮膚疾患治療剤のスクリーニング、皮膚の診断・評価用途で、広く活用可能と考えられる。

Data

FRAGRANCE JOURNAL 2020-2

Expectations

-現段階: 保有する皮膚抗原をもとに、ポリクローナル抗体を取得し、評価性能を実証済み。
-次段階:モノクローナル抗体の作製技術を持つパートナー企業と、抗体を取得し、皮膚状態評価性能の実証、皮膚老化抑制物質の探索、抗体成分による性能評価を行いたいと考えております。先ずは、技術の詳細説明とディスカッションから、スタートさせていただければ幸いです。

Patents

特許第6531906号

Researchers

荒木 令江 准教授 熊本大学 大学院生命科学研究部


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