胆管と接続した肝オルガノイド(HBTO)を用いた新たなNASH Ex vivoモデル

2023/02/07 14:24 - By Tech Manage

本研究者オリジナルの肝オルガノイドをベースとした疾患モデル

Advantages

  • 肝オルガノイド構築と脂肪肝病態を短時間(3~4週間程度)で誘導可能なモデル
  • 肝細胞への遊離脂肪酸(FFA)の蓄積状態をリアルタイムで把握できるモデル
  • 脂肪肝病態進行過程でのCYP活性プロファイル変化を解析可能
  • ヒト肝細胞とマウス胆管上皮細胞の共培養をオルガノイド構築と病態誘導に適用可能

Background and Technology

本発明は、2019年に胆管上皮細胞と肝細胞とを共培養することを特徴とする肝細胞と胆管上皮細胞との接続部構造を有する肝上皮様オルガノイド(Hepatobiliary Tubular Organoid:HBTO)の形成をベースとしたモデルである。従来の肝オルガノイド培養では、生体内と同様な胆管への接続構造が構築されず、肝組織内での代謝状態を観察することは不可能であったが、本HBTOは、CYPやアルブミンの長期発現はもちろん、胆汁排泄路を備えていることから、薬物代謝などの組織観察のみならず排出された胆汁を回収することにより、生体内組織を再現した解析が可能という優位性を備えている。
今回、上記オルガノイドをベースとし、肝障害のおいて重要な役割を果たすことが知られている肝星細胞とクッパー細胞を導入し、遊離脂肪酸(FFA)やリポ多糖(LPS)を添加することで、肝細胞への脂肪滴蓄積と星細胞の活性化を伴うEx vivo脂肪肝モデルを構築した。培養のダウンサイジングが可能であることは確認済みであり、未だ特異的な治療剤の無い脂肪肝への薬剤候補化合物のスクリーニングによって薬剤探索の多面的な解析が期待できる。

Data

左:肝オルガノイド内の星細胞は、DesminとSMAの染色を行うことで、Quiescent(静止期), Intermediate, Activated(活性化)状態を識別することができる。
右:肝オルガノイドに脂肪酸(FFA)とLPS(脂肪毒性脂質)添加による疾患モデル組織の染色写真。肝細胞死の誘導は顕著ではないが、FFAとLPS添加によって炎症を誘導すると、活性化された星細胞が増加する。

Expectations

現段階: 胆管接続オルガノイドと、それによる脂肪肝Ex vivo疾患モデルの構築と、組織観察とCYPプロファイル解析を完了。
次段階: ①胆汁うっ滞モデルの構築。胆管上皮細胞もヒト細胞を用いたオルガノイド、病態モデルの構築。
           ②-1本脂肪肝モデルによる、薬剤評価・探索スクリーニング(共同研究)
           ②-2本脂肪肝モデルとプロファイル解析の研究ツールとしての商業化(共同開発)
上記のうち、主に②の開発・共同研究コラボレーションに関心のあるパートナー企業を募集しています。先ずは、技術の詳細説明とディスカッションから、スタートさせていただければ幸いです。

Applicant

札幌医科大学

Patents

・特許出願済(日本、米国、ドイツ)

Researchers

東京大学 医科学研究所幹細胞治療研究センター 再生医学分野 准教授 谷水直樹


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