ウェアラブル発汗センサ

2024/10/08 13:27 By Tech Manage

超親水性ポリマースポンジ充填マイクロ流路デバイスで超微量な汗を補足し、
発汗量と汗成分の濃度変化を電気化学的にリアルタイム取得

Advantages

  • 安静時の超微量な発汗量を計測することができる。
  • 汗に含まれる微量成分(グルコース、尿酸、イオン量等)をリアルタイムで計測することも可能。
  • 汗以外の体液や植物の葉の蒸散量を観測するなども可能。

Background and Technology

ヒトにとって体内の水分量の調節は、生命活動を維持する上で極めて重要である。発汗は心身の健康状態とも密接に関連しているが、現在のウェアラブル技術では、比較的多量の汗しか連続してモニタリングすることはできなかった。
本研究者は、安静時でも生じている体表面からのごく微量な水の蒸散(不感蒸泄性発汗)も正確にモニタリングできる、肌に張り付けるタイプの薄く(1㎜)軽い(1g)ウェアラブルパッチを開発した(図1)。パッチ内の流路には,植物の吸水メカニズムを模倣した細菌由来の超親水性ポリマースポンジが充填されており、微量の汗(水蒸気)を迅速かつ確実に捕捉することができる。また、流路に入った汗を色素で着色し、発汗を「見える化」することで、発汗量と発汗速度(脱水状態)を視覚的に確認できる。さらに,パッチには汗に含まれる水素イオン濃度(pH)やナトリウム/カリウムイオン、グルコースなどの化学成分を検出する電気化学センサの組み込みが可能であり、これらの濃度変化のリアルタイム計測が可能である(実証済)。パッチは額、首、肩、腹部、腕、大腿部、脛、足の甲など体の様々な部位に貼り付けることが可能であり、部位ごとの発汗を連続的にモニタリングすることができる(図2)。
本技術をウェアラブルデバイスに搭載することにより、脱水管理や経時血糖測定、緊張状態やストレス状態の観察,疾患診断,心身の健康管理、スポーツパフォーマンスの最適化などへ応用できる。また、汗以外の体液の測定や植物の葉の蒸散量を観測することも可能で医学・心理学的な応用のみならず、環境分野まで、幅広い分野での応用も期待される。植物の葉の蒸散量を観測することも可能で医学・心理学的な応用のみならず、環境分野まで、幅広い分野での応用も期待される。

Expectations

筑波大学では、本技術を用いた測定/診断装置、ウェアラブルデバイスの開発に興味のある企業を探しています。筑波大学との秘密保持契約締結による未公開データ等の開示のほか、サンプルを用いた評価、本研究者との直接のご面談によるお打合せも可能です。

Publications

Ding H, Yang H, Tsujimura S. Advanced Science., Volume11, Issue30. August 14, 2024, 2401947. 【DOI】 10.1002/advs.202401947

Patents

特許出願中(未公開)

Researchers

辻村 清也教授 (筑波大学 数理物質系)

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