再生医療の産業化のための細胞量産技術

2022/06/30 14:35 - By Tech Manage

10リットルの多能性幹細胞3次元大量培養を可能にする培養技術と分注技術

Advantages

  • 大型タンクによる幹細胞培養に伴う酸素供給と品質確保の問題を解決

  • 凍結保存時に各バイアルごとのバラつきを抑制

Background and Technology

間葉系幹細胞による再生医療が実用化され、細胞を活用した臨床研究も始まっている。大規模化による製造コストの削減が普及の課題の一つといわれるが、量産技術は未確立である。特に多能性幹細胞の培養においては現在主流の平面培養から浮遊培養への移行の取り組みがなされているが、タンクの大型化に伴う酸素供給が課題となる。多能性幹細胞は剪断ストレスに弱く、揺動やバブリングを行うと細胞がダメージを受けて増殖能が低下する問題が生じる。また、冷凍保存するために大型タンクから長時間をかけて数百以上のアンプルに分注する場合に、分散性均一性を保つために攪拌すると同様に細胞がダメージを受けて品質が低下する。

大阪大学では「細胞製造コト作り拠点」運営を通して、産業界と連携による低コストかつ高品質な細胞製造技術の確立に取り組んでいる。本技術では、低剪断力下で固体状態を維持し閾値を超えると流体となる「組成流体」のユニークな特徴を利用する。ジェランガムなどの多糖類成分を培地に加えて塑性流体なり細胞が浮遊状態で維持される特徴(公知技術)を応用する。

①塑性流体を用いた三次元培養

塑性流体培養培地で細胞を培養しつつ、スパージャー等によるバブリングで酸素を補給する。液中での気泡の上昇速度が低下し、せん断応力による細胞ダメージが低減される。

②塑性流体を用いた分注方法

凍結保存液を塑性流体化してタンクに細胞が均一分散した状態にして自動分注装置により分注する。分注時間中にタンクを攪拌することなく全てのバイアルでほぼ一定の細胞数を各バイアルに注入することができる。塑性流体化した凍結保存液が細胞の保存に影響がないことは確認済み。

Expectations

大阪大学では本発明のライセンス、その他ノウハウ提供により細胞の大量生産技術の確立を支援します。コト作り拠点への参画も歓迎します。

Patents

①  PCT/JP2017/001874(日・米で成立済)

②  PCT/JP2019/031860(日・米・欧・中・加)

Researchers

紀ノ岡正博 教授 (大阪大学工学研究科)


The Latest Life Science Opportunities from Japanese Top Universities

以下のフォームからお問い合わせください

Tech Manage