血液脳関門DDSペプチド

2025/02/13 19:32 - By Tech Manage

高分子医薬品などと共に脳内へ高効率に送達できる環状ペプチド

Advantages

  • 対象の中・高分子製剤(抗体やリポソームなど)の血液脳関門の透過能を向上させる
  • 環状ペプチドと薬剤との複合体は3つの方法で調製することが可能

Background and Technology

中枢神経系疾患の治療において最大の課題の一つは、治療薬を脳内に効率的に送達することであるが、血液脳関門(BBB: Blood-brain barrier)と呼ばれる強力なバリアが多くの薬剤の脳内移行の障壁となり、特に抗体医薬などの中・高分子製剤はBBBを透過させることが難しく、治療効果が限定されてきた。
本研究者らは、薬剤を脳へ送達するキャリア分子の開発に取り組み、BBBの透過を促進する短い環状ペプチド(SLSペプチドと命名、下図参照)を同定した。SLSペプチドと薬剤を結合させた複合体はBBB透過性が大幅に向上し、脳実質内への移行を有意に促進することを確認した。SLSペプチドを用いたリポソームや抗体の複合体は既存の産生技術や既存薬を活用して簡便に調製できるため、本技術は中高分子製剤の脳内送達に大きく貢献することが期待できる。

Data

  • 様々な候補ペプチドを発現するM13ファージライブラリーから、ヒトBBBモデルの一種であるhCMEC/D3細胞を用いた透過性アッセイを行い、BBBでの高分子の透過を促進するSLSペプチドを同定した。
  • ヒトのBBBを形態学的にも高度に模倣するヒトBBBモデルの階層スフェロイド型ヒトBBBモデルにより、SLSペプチドと複合化したアニオン性リポソーム(150 nm)やモノクローナル抗体(150 kDa)の脳内移行が有意に促進されることを確認した。
  • マウスを用いた脳移行性評価実験において、SLSペプチドは脳実質への移行を有意に促進することを、複数の抗体医薬(Aducanumab, Trastuzumab)やアニオン性リポソームで確認した。

Expectations

テックマネッジ株式会社では、熊本大学からの委託により、本発明のライセンス導入による製品化・実用化をご検討いただける製薬企業・スタートアップを探しています。熊本大学との秘密保持契約の締結による未公開データ等の開示の他、研究者との直接のご面談によるお打合せも可能です。
また、本発明に関する共同研究のみならず、一定期間における独占的な評価や、実施許諾の優先交渉権等のオプション設定についてご検討いただくことも可能です。ご希望がございましたらご相談ください。

Publications

Yamaguchi S., et al., J Control Release (2020) 321, 744-755. 

Patents

日本(登録済):特許第7378046号; 米国(審査中):17/260,108

Researchers

伊藤 慎悟 准教授 (熊本大学 大学院生命科学研究部)


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