ワルファリン投与管理アプリ

2024/10/29 11:11 - By Tech Manage

厳密な管理が必要となるワルファリンの投与量を簡便に算出するプログラム

Advantages

  • 遺伝子多型情報は算出に用いないため、遺伝子検査が不要。
  • 服用中のワルファリンの量のほか、PT-INR値、患者背景因子等を考慮した新たな指標により、厳密に管理が必要なワルファリン投与量の高精度での算出が可能。
  • モバイル端末での利用が想定され、病院外での管理にも利用可能。

Background and Technology

ワルファリンは、肝臓において血液凝固因子が生成される際に関与するビタミンKを阻害することで抗凝固作用を発揮する薬剤であり、主に心房細動患者や人工弁植え込み患者などにおける血栓症の予防のために多く用いられている。ワルファリンの投与量の調整は非常に重要であり、過度な投与は出血の危険性を増加させ、逆に少なすぎると血栓症の危険性が増えるという問題があるため、厳密な投与量の管理が求められている。一方で、この投与量バランスには個人差があり、また同一人物であっても食事内容などにより異なることから、定期的な血液凝固能の確認検査が必要となり、医療従事者と患者の双方に対し検査に伴う負荷がかかる。そのため、ワルファリン投与量の予測・算出するための算出式や自動計算プログラムなどがこれまでにいくつも提唱されており、それらの中には患者の遺伝子多型情報を用いた算出方法なども存在するが、これまでに考案されている算出方法では環境要因や併用薬などの外的要因を殆ど反映していないため、予測精度が十分ではないという問題があった。
そこで本発明者は、ワルファリンの最適な投与量を予測・算出する予測プログラムを、上記の問題点を踏まえて新たに開発した。この予測プログラムでは、ワルファリンを投与する日の前日までに服用したワルファリンの量やPT-INR値(※Prothrombin Time-International Normalized Ratio;プロトロンビン時間−国際標準化比)、並びに、患者背景に基づく他の因子を考慮したパラメーターなどを用い、投与日の翌日のPT-INR値が目標値領域内に収まるように、投与日におけるワルファリンの最適投与量を簡便に精度よく決定することが可能となる。本予測プログラムは従来の方法とは異なり、被験者の各種遺伝子検査結果の情報は一切不要であるため、既知の患者情報のみに基づき簡便に予測することが可能である。
具体的な使用イメージとしては、スマートフォンやタブレットPCなどのモバイル端末用のアプリケーションが想定され、これにより病院内での実用性はもちろん、病院の外であっても容易に利用可能となる。それゆえに、例えば薬剤師が患者に対して服薬指導を行う際や、患者が退院後に自分自身(又は介護者側)で服薬管理を行う際にも利用可能となることが予想される。

Expectations

テックマネッジ株式会社では、大阪大学からの委託により、本発明のライセンス導入による予測プログラムソフト及び/又はモバイル端末向けのアプリケーションとして製品化・実用化をご検討いただける企業様を探しています。
また、大阪大学との秘密保持契約締結による未公開データ等の開示の他、本発明/プロジェクトに関し、研究者との直接のご面談によるお打合せも可能ですので、ご希望がございましたら何なりとご相談ください。

Publications

論文投稿中

Patents

特許出願中

Researchers

前田真貴子 准教授 (大阪大学大学院 薬学研究科 臨床薬理学分野)


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