原因物質のインドールを吸着する活性炭を配合・徐放する可食性フィルム剤
Advantages
- 安全性:可食だが難消化性のこんにゃくを粉末にして用い、活性炭を加えて成型したフィルム剤
- 吸湿性があり、ネコやイヌの上顎に容易に付着させられるため服用させやすく、仮に上顎から外れたとしても、例えばネコはフィルム状のものをかむ習性があるため、そのまま咀嚼して服用が可能
- ペット、飼い主の両者にとってストレスフリーな治療/予防剤になり得る
Background and Technology
現在、動物医療の進歩によりペットの寿命が延び高齢化が進んでいる。その結果、例えば高齢ネコの約3割は慢性腎不全になるといわれており、ネコは腎不全が原因で死亡する割合が他の動物に比べて突出して高いことが知られている。腎不全の治療法の一つに、原因物質のインドールを腸管内で活性炭に吸着させ、便とともに体外に排出させる手法がある。しかしながら、この治療方法では活性炭を1日に数回飲ませる必要がある一方、ネコに飲ませること自体が非常に大変であるため、ネコと飼い主の双方にとってストレスとなっている。
本発明者は以前から、こんにゃく粉末の産業応用に関し研究しており、その応用により上記の問題を解決できるのではないかと考え、活性炭を含有したこんにゃくフィルムを作製した。こんにゃく由来のグルコマンナンを主成分としたフィルムであり、オブラートよりもしなやかで破断強度が強く、また活性炭はフィルム内に均一に分散されるためインドール吸着率も良好で、活性炭を直接服用させた際と同等の吸着効果が確認された。
さらに、本発明のこんにゃくフィルムは、少量の水分を含ませると皮膚によく付着する性質を持つため、ネコ等の上顎に付着させ、付着部位の水分によってフィルムが崩壊し徐々に活性炭を放出させながら服用させることが可能だと考えられる。加えて、ネコはフィルム状のものを噛む習性があり、仮にフィルムが上顎から外れたとしても咀嚼しながら有効成分である活性炭を服用させることが可能である。
Data
- 活性炭のみ(67 mg)、または同量の活性炭を含有する本発明のフィルムを、インドール溶液100 mL(30 mg/L)の中に添加し、溶液中の遊離インドールの濃度を紫外可視分光光度計で経時的に測定した。それぞれの、インドール吸着除去率を算出したところ、活性炭のみの場合は15分後にほぼ飽和に達する吸着効率が得られ、一方の本発明の活性炭含有こんにゃくフィルムも3時間で約84%を吸着できることを確認した。
Expectations
- 動物を用いた実証実験にご協力いただける企業様や、高温多湿下でも腐敗・カビが生じないフィルムの改良にご協力いただける企業様、および本発明のフィルム剤の量産化にご協力いただける企業様とのコラボレーションを希望しています。
- 他の医薬品や有効成分を用いることで、経口では医薬品等を服用させにくい患者様やペット・患畜向けに、新規の経口フィルム剤としても開発が可能です。
- また、皮膚への貼付性も良好のため、経皮吸収されにくい水溶性物質の経皮吸収型フィルム製剤や化粧品としての開発も可能です。
本発明に関し、発明者との面談による詳細開示・打合せ等も対応可能です。ご希望等ございましたら何なりとお尋ねください。
また、福岡大学との秘密保持契約の締結による未公開データ等の開示の他、有償MTA契約による本発明のこんにゃくフィルムのサンプルを用いた評価検討もご検討いただくことが可能ですので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
Patents
日本特許第6893650号
Researchers
池田 浩人 教授 (福岡大学 薬学部)
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